2025(令和7)年度札幌市文化芸術創造活動支援事業の助成を受けて、一般社団法人AISプランニングが実施する「アーティストの創作活動を支援するためのチームビルディング事業」に関する半年間の成果を、アーティストの創作活動支援プログラムに採択されたアーティスト4名(支援アーティスト)と創作活動支援人材育成プログラムに登録したメンバー(人材育成メンバー)のうち5名からご報告いたしました。

・チームビルディング合同報告会
日時:2026年2月23日(月祝) 10:30-12:50
会場:札幌市資料館 研修室 https://www.s-shiryokan.jp/
報告者:支援アーティスト4名、人材育成メンバー5名
*予約不要、参加費無料、入退出自由
※当事業は令和7年度札幌市文化芸術創造活動支援事業の助成を受けて実施しています。
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/entaku/souzoukatsudou_2025.html
0.報告会準備
数日前の事前打ち合わせで会場レイアウトについては確定していたのですが、当日になり、参加者席のテーブルどうする問題が勃発。コーディネーター小林は、事前の打ち合わせを覆し、机があった方が楽だし良いと主張し始め、代表漆は講演者と聴衆でキッチリ分けるのはAISっぽくないから車座方式にしようと提案。しばし議論の末、折衷案として前方に椅子席、後方にテーブル席とすることが決まりました。

開場準備が整った様子
ちなみに、昨年度(2024)の報告会は中央に大きなテーブルを設置し、お菓子や飲み物を準備して、ざっくばらんな報告会でした。
- 【2/22(土)】文化芸術活動を通じたコ・クリエーション事業【事業報告会の様子】
https://ais-p.jp/news/2025/03/15/debriefing-session2/
開場時間になる前から参加者が(時間を間違えて)来場し、ぬるりと開場(というか、写真の通りスタッフの会場入りからずっとドアは開け放たれている状態)。その後、支援アーティストや人材育成メンバー、来場者が続々と集まり、後方のテーブル席から着席し始める。
1.AISプランニング代表漆よりご挨拶と本日のプログラム説明
第1部(午前の部)はAISプランニングの活動報告、第2部(午後の部)は採択団体の報告会と中間支援とはなにか?これからどうする?をざっくばらんに語り合うクロストークが行われることが説明されました。
- 【2月23日10:30~】令和7年度札幌市文化芸術創造活動支援事業~合同報告会~【札幌市資料館】
https://ais-p.jp/news/2026/02/08/2025hokokukai/
尚、札幌市主催報告会は3月17日(火)に開催予定とのこと。この時点での札幌市からの情報公開はされていませんが、今後札幌市のWEBサイトにて情報公開されると思われます。
- 令和7年度札幌市文化芸術創造活動支援事業
https://www.city.sapporo.jp/shimin/bunka/entaku/souzoukatsudou_2025.html

漆代表の挨拶
挨拶の最後に、前方の椅子席がほぼ空席にもかかわらず、後方のテーブル席はほぼ満席なので、椅子席でも支障のない方には前方に移動してもらうことに。テーブル席が良い方に手を上げてもらい、それ以外の方に一言「はい。移動して!」と言い放つ代表漆。強権発動か?と思った瞬間、すかさずコーディネーター小林が「だからテーブル席が良いって言ったじゃん!」と介入し、内部分裂を露呈し会場の笑いを誘う。これもTHE・AISプランニング・スタイルで、会場の空気が和らぐのがわかる。
なんやかんやありつつ、優しい来場者数名と人材育成メンバーが椅子席に移動してリスタート。途中入場の方にも、すすっと空いたテーブル席にご案内できる程度にはなったので、案内役の私(成田)としてもありがたい。
2.コーディネーター小林からチームビルディング事業の説明
本事業は、アーティストと支える人のチームビルドを構築することを目的とする旨を説明。昨年度(2024)は、支援アーティストとコーディネーター育成メンバーとの交流が少なかったという反省があったので、今年度(2025)は、合同会議など積極的に支援アーティストと人材育成メンバーが交流できる場をプログラムに組み込んだことの説明もありました。
また、文化芸術は日常にあり、限られた空間だけでなく日常と繋がるからこその良さがあること、そのために分野横断の可能性やそこから社会的な意義を見出すことが必要であり、アーティストがいろんな方の力を借りながら社会と繋がることも事業の目的にあるとのこと。前職がアート関係ではなかったからこそ見える現状とこれからを模索する姿勢が熱く語られた。

話はクドイけど、この漢の熱さがチームビルディング事業を支えていた
登壇者からの報告は良かったことだけでなく、AISプランニングに対する不満をぶちまけてもらうことになっているので「お手柔らかにお願いします」などと気弱な発言で〆て、支援アーティストの報告へ。
3.支援アーティストからの報告
- 【審査結果のお知らせ】アーティストの創作活動支援プログラム
https://ais-p.jp/news/2025/09/12/artist/
3-1.風間 雄飛/Yuhi Kazama
https://www.instagram.com/yuhi.kazama/
https://yuhikazama.tumblr.com/
本事業で採択された風間さんの「SURI-PRO」とは、「札幌の版画家と他分野のアーティストが共同で版画作品を作り上げることで、アーティストの活動・表現の幅を広げつつ、版表現の新たな可能性を追求するプロジェクト」です。このプロジェクトには版画の啓蒙や版画の喜びを知る人を増やしたいという思いがあったそうです。そして、版画家が増えることも期待してたそうです。本事業の半年間の支援期間では、小林大賀氏、同じ支援アーティストの桑迫伽奈さんと共同制作をしました。
活動の詳細は、支援アーティストの活動ブログをご参照ください。
https://ais-p.jp/tag/kazama-yuhi/

風間さん(写真右)と、小林大賀氏との協働作品を持つ人材育成メンバーのHIKARIさん(写真左)
・活動成果として
小林大賀氏とのプロジェクトを完了して、「大賀さんは今後も版画を続けてくれると期待しています。「SURI-PRO」の目的でもある、版画の楽しさを伝えることが達成できたと思っています」とのこと。小林氏の絵本に使われている原画がとても素敵なので、風間さんからお誘いしたという経緯や版画には原画とは違う良さ・味わい、完成するまでのドキドキ感があることなども語られました。
桑迫さんは、風間さんと同じ支援アーティストのひとりで銅版画の経験者であり、やりたいこと試してみたいことを明確に持っていたそうです。桑迫さんが行った銅版画の写真製版という技法は、以前は危険な薬品を使用する技法でしたが、最近は無害なものへの置き換えも進んでいるそうです。桑迫さんをサポートするために、写真製版に詳しい本州在住の方に助言を頂いたりしながら進めていたそうです。風間さんも実験的な制作や手を付けていなかったところに着手できたのも良い経験になったそうです。
そして、本事業を通して桑迫さんに出会うことができ、一緒に制作活動できたことは大きな収穫だったとのことです。本事業が新しい繋がりを提供できたことは大きな成果だと思います。また、風間さんと小林氏はもともとの知り合いなので、プロジェクトが採択されて直ぐにスケジュール調整し始動できたそうです。アーティスト同士の繋がりが新しい境地(作品や活動を含め)にたどり着けるのかもしれないと思いました。

SURI-PROでの作業の様子
Photo by Jisu Kong
風間さんは、今年度の「SURI-PRO」に関しての記録集を作成中です。会場ではプリントアウトしたものを頂くこともできました。この記録集はまだ未完成とのことですが、制作記録だけでなく、今回行った版画技法リトグラフと銅版画写真製版の説明も充実していて読みごたえがあります。
・感想として
「SURI―PRO」を始めるキッカケになったことを感謝しているとのこと。繋がりがなかったアーティストとの新しい出会いがとても有意義で、人材育成メンバーとも気軽に話ができる場があり、お互いの考えを聞ける機会があったことが良かったとのこと。「SURI-PRO」のようにプレイヤーだけで成立する企画にサポートが入ることにで、制作風景などの記録が残せるのでありがたいと感謝が伝えられました。
・改善点・要望など
合同会議は支援アーティストが報告して終わりになることも多く、人材育成メンバーからのフィードバックがもっと欲しかった。雑談レベルではなく、深く話し合う時間がもっとあったら良かったと思う。特に、協働するアーティスト選定に関する提案はもっと欲しかった。
・質疑応答
Q:冊子が完成したら、どこで見られる?
A:ネット公開かZINEにする予定。
*冊子が完成したらAISプランニングのWEBサイトでもお知らせします
Q:「SURI-PRO」の今後は?
A:どのように続けていくのか検討中。事業展開をして際限なく受け入れるのは、身体が持たないことがわかったので、今回のような形で続ける場合は助成金を貰って、人数を決めて行うのがいいのかもと思っている。
AISプランニング小林より補足:カザマプリントスタジオ(工房計画)に関しても、物件に強い方を紹介することができたので、その方と相談したりと少しずつ進んでいます。
3-2. 桑迫 伽奈/Kana Kuwasako
https://www.instagram.com/kanakuwasako/

桑迫さんは、札幌、北海道だけでなく本州、海外での活動や展覧会も行っています。表現媒体は写真、刺繍、ドローイングなど、それらを組み合わせた作品もあります。
本事業では「活動を一旦止める」ことが採択されたのですが、何もしないわけではなく締め切り・展示に向かった制作をしないだけです。これは、展覧会に向けた逆算と制約の中での制作が続いたことからの解放を意味していて、制作というアウトプット中心の活動から、実験的制作などを含むインプット方向へシフトチェンジをした半年間だったようです。
活動の詳細は、支援アーティストの活動ブログをご参照ください。
https://ais-p.jp/tag/kana-kuwasako/
・活動成果として
①制作に直結しない旅:石狩市の砂浜にてビーチコーミング
今まではどこかに行くということは、制作のための素材収集やリサーチなど見えない何かに追われていたようだったので、それを一旦置いて、人材育成メンバー3名と日帰り旅に出てみました。この企画は人材育成メンバーの成田さんから、「いつか作品になってもいいし、ならなくてもいい旅にいこう」と誘ってもらって実現しました。

悪天候の中、砂浜に降り立つ私たち
Photo by 桑迫 伽奈
コーディネーター小林より「合同会議のあとの昼食会で人材育成メンバーと盛り上がってたんだけど、自分はなにが楽しいのかわからないんだよね~。なので、みんなに任せました!」と振り返りが挟み込まれました。それに対して桑迫さんが「価値を見出せない方は来なくていいです」とピシャリ(私も同感・笑)。ビーチコーミングは拾った石や貝殻などを持ち帰るのですが、桑迫さんは打ち上げられた石などを手に取ると、見つけたときの感動が薄れてしまうので、そのままの姿を写真に撮っていたそうです。桑迫さん曰く「目で拾う」ことをていたそうです。素材収集やリサーチは山に行くことが多いので、海は新鮮でした。
②天神山アートスタジオでのレジデンス
在住地でのレジデンスは、日常から切り離され過ぎずに、日常の生活を薄くして制作に集中できる良い期間だったとのことです。海外からのアーティストも多く、刺激的でもあったとのこと。振り返れば、写真を1枚も撮っていなかったそうで、なにかをしなきゃいけいないという束縛から解放された2週間だったようです。
③ワークショップの開催
滞在期間中に開催された天神山アートスタジオOPEN STUDIOでは、写真に刺繍をするワークショップを開催しました。午前中に行われたアート&ブレックファーストで、参加者は心も身体もほぐれていた感じで、次々に増える参加者に先に始めた参加者が声をかけ、参加者間でのコミュニケーションで課題解決されていく理想的な時間と空間になりました。桑迫さんは、ただただ中国茶を差し出すだけだったと笑っていました。そして、それぞれの仕上がりが違うのが良くて、参加者同士で見せ合ったりしてワークショップが終了しました。
④他アーティストの活動訪問
同じ支援アーティストである小松さんが滞在した上士幌へコーディネーター小林、人材育成メンバーと訪問し、小松さんの聞き取りに同行させてもらいました。雪国の人ではない小松さんが一番スタスタと歩いていたことに驚き、地元の食材で夕食作りみんなでわいわいと食べて帰ってきたそうです。
⑤他アーティストとの協働制作:SURI-PRO参加
銅版画は自宅制作が難しい(機材、薬品等)ので、卒業後は中々取り組めないままになっていたそうです。自分で調べてみても、Word(言葉)は出てきてもknow-how(実践方法)がない、How to(手引き)があっても現在地の課題やコツがわからないなど、ひとりで制作するのは難しい状態だったそうです。新しい作品を作るときの孤独な作業と対照的に、やってみたいに対する風間さんのアドバイスと、人材育成メンバーの反応に救われた今回の「SURI-PRO」参加だったとのこと。作品になるのはまだ先になりそうだけど、インクや刷り方を変えたりと実験を繰り返して、もっと突き詰めていくそうです。

・感想など
いろんな人が関わっている良さがしっかり出ている印象だったとのこと。気軽に話せる雰囲気と反応がありがたかった。
また、作業風景の写真などの記録を残してくれることのありがたいことよ、と感謝も。制作過程(制作しているアーティスト本人の姿)は残らないことが多いので、とても助かったとのことでした。
プラン通りにできたことに対する助成金が多い中で、プラン通りに行かなくても良いという安心感が大きかったそうです。合同会議を経て活動が変化していくことが良しとされる空気感が良かったとのことでした。
・改善点・要望など
活動では同じメンバーになりがちで、進むにつれて閉じてしまったような気がしています。
・質疑応答
Q:天神山レジデンスで写真撮らなかったのはなぜ?
A:日常的な写真は撮らない方なので、それに拍車をかけた感じです。
Q:予定していなかった活動は?
A:合同会議で活動の方向性が変わったことは、ビーチコーミング、小松さんのレジデンス訪問などがあります。合同会議など顔を合わせていた時に、気楽に誘われてる感じが良かった。「後日メールで…」のような改まった感じではできなかった企画だと思います。
AISプランニング小林より補足:支援は結果を出すだけでなく、ゆるやかな過程を大切にすることも支援になることがわかった。そして、気楽に話せる場が大事だと再確認できました。
3-3. 川崎 乃佳/ Nonoka Kawasaki
https://www.instagram.com/kawasaki.nonoka
https://ais-p.jp/tag/nonoka-kawasaki/

カナダで開催された展示会情報が掲載された現地の新聞を手にする川崎さんと人材育成メンバーHIKARIさん
川崎さんは、2025年から画家としての活動を開始し、アクリル絵具での動物画、神獣を描いています。初の個展だった中原電気ギャラリーでの展示で当事業を知り、応募し採択されました。
展示会、展示即売会などへの参加を通して自身のステップアップを目指しています。目標はバンクーバー美術館での個展!です。以前カナダに留学して、人生が変わるほどの衝撃あったので、カナダに戻りたいという熱い思いが彼女にはあります。そのカナダへの足掛かりとして、カナダのレイクカウチン町と姉妹都市提携を結んでいる北海道伊達市大滝区(旧大滝村)での展示会から、レイクカウチンでの展示へと繋がったそうです。この展示会の資金を調達するために初のクラウドファンディングにも挑戦しました。Lake Cowichan Municipal office(市役所)での展示会は現地の新聞に掲載され、たくさんの方が来場してくれたとのこと。期間は2025年12月22日~12月31日。
<支援期間中の展示会などの情報(一部)>
2025.10.11-13 大滝とカナダを結ぶ国際交流アート展@伊達市大滝区

写真提供:川崎 乃佳
2025.11.4 11:00〜20:00 川崎乃佳にゃん展@東京・吉祥寺プティット村
2025.11.15-30 色彩の動物たち@瀟洒珈房 月織堂
2025.12.22-31 "Art Exhibition Ohtaki×Canada Nonoka Kawasaki"@Lake Cowichan Municipal office

写真提供:川崎 乃佳
2026.2.22 11:00〜19:00 モユク札幌グランマルシェ(ブース出店) Nonoka Kawasaki art gallery@モユク札幌地下2階
活動の詳細は、支援アーティストの活動ブログをご参照ください。
https://ais-p.jp/tag/nonoka-kawasaki/
・活動成果として
合同会議で日本画について知りたいと話したら、日本画の展覧会にコーディネーター小林、人材育成メンバーと一緒に行き日本画アーティストとお話しする機会が持てたり、「夜会」@サッポロッジ(11/27)でお話しさせていただく機会が頂けたりと、今までの活動とは違う活動の幅が広がるような繋がりが持てたことが大きいとのこと。
川崎さんは、他アーティストとの関わりからも大きな影響を受けたようです。川崎さんと同じ支援アーティストである小松さんのパフォーマンス(3-4.に記載)にとても感動した様子でした。それは、自分の表現の仕方を考えることにもつながったようです。川崎さんの絵は色彩豊かで写実的なのですが、そこに鑑賞者が気配や気を想像できるような抽象さがあっても良いのかもと考えるようになったとのこと。これからは、鑑賞者の想像力を喚起するようなアートを目指していきたいと熱い想いを語ってくれました。
人材育成メンバーからの展示のお誘い(月織堂)やDM作成のデザイナー(しの. さん)紹介などの協力もとても助けられたとのことでした。
・改善点・要望など
どのようなサポートをしてくださるのか、明確な部分の説明がなかったので、はじめにアーティストのサポートとしてできる範囲が説明されればわかりやすかったと思います。展示の搬入搬出だったり、DM作成だったり、広報だったり...これはお願いしていいものなのかな?という迷いがあった。それでも、全体を通して相談しやすいラフな感じがあったので、聞いてみたらデザイナーを紹介してもらえたりして良かったです。
・質疑応答
Q:どういう風に情報をキャッチしてた?
A:Google検索しててもヒットしないので知らなかった。
コーディネーター小林から補足:人材育成メンバーが配布先を提案して配布も手伝ってくれたことが、ここに繋がった。
コーディネーター小林より
川崎さんは現代美術の方ではないので、AISプランニングとしてどうかかわれるか?を問われていたように感じていた。だが、情報提供するだけで、自ら変わっていく強さ、自分で道を切り開く行動力を持っていた。現代アート界隈では驚かない見立てに驚くというような柔軟さも持っている。それらが、商品としての完璧性から、鑑賞者の想像力を刺激するような作品へ転換してくとのこと、今後の活動も楽しみです。
3-4. 小松 菜々子/Nanako Komatsu
https://www.komatsu-nanako.com/
https://ais-p.jp/tag/nanako-komatsu/

小松さんはコンテンポラリーダンサーであり、ダンスと言い張ったパフォーマンスも行います。小松さんのパフォーマンスはもともとある空間でヒト(他者)と何かを作り上げます。見立て・空想が入り混じる空間で、人と人の関係性で作品を構築されていきます。
小松さんは、自身の家族のルーツを北海道各地と札幌でリサーチすることが採択されました。彼女の家族のルーツは「開拓移民」にありますが、両親は結婚して横浜に住んでいます。そして、自身は神戸在住。北海道の「開拓」移住史と自身の身体が地続きであることを踏まえ、近代国家形成と移住政策の歴史が強く刻まれている北海道・札幌でのリサーチが必要でした。道外のアーティストが外部の視点で、人が移動し、どのようにその土地に根付いていくのか、そこにはどんなエピソードがあるのかなど、北海道で暮らす方々の生活史の聞き取りと、文化と身体の移住痕としての祭り・盆踊りのリサーチなどを行いました。
詳細は、支援アーティストの活動ブログをご参照ください。
https://ais-p.jp/tag/nanako-komatsu/
・活動成果として
神戸と北海道行き来する半年間でした。とにかくどこかに行って、誰かと話していたそうです。
リサーチは採択前の2025年7月から始まります。
7月:豊平歴史資料館(私設) / 豊平地区町内会長の中川昭一氏
9月:市立函館博物館 / 函館谷地頭(小学生の祖父が高祖父と過ごした場所)
昭和9年の函館大火とその翌年(昭和10年)の盆踊り(港まつり)の関係性を知り、明治以降に全国各地から移住してきた方々が持ち込み、新たに作られてきた祭り・盆踊りが、移住の記録そのものが振付として身体にアーカイブされ、踊りの中にも文化があるのではないかという疑問と期待からリサーチの旅が始まりました。
<当事業採択後の活動の記録>
来札時には天神山アートスタジオに滞在していて、この経験が大きいとのこと。世界中から来るアーティストだけでなく、老若男女問わず地域の方も来館し、それぞれが思い思いの過ごし方で同じ空間に居て、自分もそのひとりであることが刺激的だった。ただ、英語力をもっとつけなければ、と思ったとのこと。
①北海道開拓の村、北海道大学植物園、北方民族資料館(北海道大学植物園内)をリサーチ。
②天神山文化祭に参加し、塩屋盆踊りを伝授する。

Photo by 小松 菜々子
③大麻銀座商店街でAISプランニングと関係性の深いアーティスト秋元さなえ氏、櫛引康平氏に出会う。
秋元氏からは常設の盆踊り櫓のある三笠周辺をお勧めされ、後日、人材育成メンバー磯田さんと一緒にリサーチに行く。
④人材育成メンバー舟迫さん、HIKARIさんと洞爺湖、伊達、白老(ウポポイ、慰霊施設)へリサーチ旅に行く。
ルーツ&アーツしらおい2025の開催期間だったのを現地について知り、そちらも鑑賞したので、まったく時間が足りなかった。
⑤秋元氏から紹介された三笠周辺へリサーチに行く。
母方が炭鉱関係者なので、三笠市立博物館、旧奔別炭鉱立坑櫓、唐松駅、旧幌内炭鉱もリサーチする。また、江別市にある子ども盆おどり唄歌碑も観てきた。
⑥豊水地区万灯保存会の池田健次会長、渡辺義人氏への聞き取り。
人材育成メンバー成田さんがコーディネート。とても貴重なお話を伺うことができて感動。豊水地区万灯保存会が取材を受けるのは初めてとのことで、二度びっくり。2026年の例大祭には、参加したい。
⑦家族のルーツがある王子軽便電鉄ミュージアム、水明郷、支笏湖へリサーチ。
⑧(当事業ではないが)上士幌町レジデンス。
目黒雅博氏(上士幌町教育委員会 学習資料室)から旧士幌線に関すること、手芸クラブの山田氏から生活史の聞き取りを行う。ひたすら町を歩く。同じ支援アーティストの桑迫さん、コーディネーター小林、人材育成メンバー舟迫さんが訪問してくれる。

Photo by 小松 菜々子
⑨天神山アートスタジオOPEN STUDIOで草木染のワークショップと今回のリサーチの中間発表として展示「スパコイノイノーチ」を行う。
天神山には元々の植生と人工的に移植された植物があるが、冬の期間は枝ぐらいしか拾えず、他にも手に入る様々な材料で参加者と一緒に草木染をした。「スパコイノイノーチ」は公開制作として、来館者が自由に声をかけられる場とした。パフォーマンスは、人材育成メンバーの磯田さんにお茶を点ててもらい、HIKARIさんの歌、トマトさんと舟迫さんにはツアーコンダクターとして参加してもらいました。これまでに聞き取りをした生活史とパフォーマンスが混じり合う時間と空間を立ち上げた。
⑩北海道立アイヌ総合センター、赤れんが庁舎のアイヌ文化と歴史と樺太関係資料室、札幌村郷土資料室にリサーチに行く。
人材育成メンバーの成田さんがコーディネートしてくれた。成田さんがとても丁寧に説明してくれたため、自分一人ではなかなか理解が追いつかない部分をフォローしてくれた。アイヌ民族が日本の法律上「先住民族」として明記されたのがごく最近であること(2019年アイヌ施策推進法)に驚いた。
・感想など
毎月1回は来札し天神山アートスタジオを拠点として活動していたが、道外のアーティストが支援を受けることの是非は気になっているとのこと。しかし、自分のことを知りたいと思ったときに、家族のルーツがある北海道は外せない。移住の歴史は現在と地続きであり、それは「近代化における移住政策」と切り離せない。現地に行ってみないとわからないことは多いし、実際に足を運んで空気を感じることが大切なんだと思っているので、遠方で調べているだけではわからないことが経験できてとても良かったと感謝が伝えられました。
特に、万灯保存会の聞き取りについては、取材を受けたのが初めてというのにびっくりしたとのこと。地元の方にこそ知って欲しいことだし、地元の方が自分の地元のことを知ることが大事だと思う。そして、ゼロから人間関係を作るのは難しいので、紹介などの人的なサポートがありがたいとのことでした。
リサーチの段階だったので、自分でもこうして欲しいということが言えなかった。人材育成メンバーの方と一緒にリサーチに行くことも多かったのですが、自分も考えている段階なので、わりと放置してしまう時間が長かったのではないかな、と反省もある。でもその反面、同じ時間を過ごしたにも関わらず印象的なものが違ったり、それぞれの感想が違ったりする着目点の違いを話せたのはわたしとしてはありがたかった。
そして、不満はあるけど…と口を濁して終了。
・コーディネーター小林より補足
札幌を拠点(在住、活動拠点)としているわけではないが、地域にとっては当たり前と認識していることを外から来たアーティストが気付くことにより、価値化されることも重要である。審査員の助言もあり、札幌市には「拠点」を広く理解してもらって採択された経緯があります。
終了まであと5分(12:25)ですが、12:45まで延長するとのこと。
4.人材育成メンバーからの報告
人材育成メンバーによる活動見学や実地体験等、チームビルディングにおけるアーティストの支援活動についての報告。人材育成メンバー5名から、アーティストとどんな関りがあったのか、そこから学んだことなどをご報告します。尚、AISプランニングへの苦情も受け付けるとのこと。
それぞれの活動の詳細は、活動報告ブログをご覧ください。来場者にはハンドアウト資料にQRコードを印刷した資料をお渡ししました。
4-1.トマト:俳優

月に1回開催される合同会議で共有される支援アーティストの制作過程やリサーチなどのプロセスが刺激的で楽しい。自分が参加したイベントのレポートを作成してみて、言語化する大切さや難しさを学びました、とのことでした。
改善点:関わるメンバーが限られていたことが残念。横の繋がりが見えることで学びが深まると思う。
トマトさん主催で、人材育成メンバーのHIKARIさんも参加し、舟迫さんもお手伝いする舞台公演を行うとのことです。
- トマト舞台 フィールドワーク公演 『ごろんとご自由に』
日時:2026年3月15日(日) 12:00/15:00/18:30 ※開場は各回30分前
開場:旧永山武四郎邸及び旧三菱鉱業寮 和室A
(札幌市中央区北2条東6丁目)
料金:前売・当日ともに 1,000円
ご予約: r7ticket.jp/Tomato-goronto
- 執筆したブログ記事
【人材育成】スパークプラグアライアンスの活動に参加してきた
https://ais-p.jp/news/2025/10/10/spark/
4-2. 棚田 朋子:月織堂店主

普段はストリートのアーティストとのかかわりが多く、彼らはアートの文脈やアカデミックな芸術活動における視座や経験に基づく繋がりがない方が多く、情報が偏ってしまうことを危惧しているとのこと。そのため、様々なジャンルのアーティストのサポートができるように勉強しにきたそうです。
しかし、できた支援は展示のお誘いやDM作成のクリエータの紹介、知ってもらうための機会づくりのサポートなど、いつもやっていることのみになってしまい、その他の活動にもなかなか参加できなかったのが残念とのことでした。
棚田さんは、それぞれの分野での違いを理解し、そのアーティストがどうなっていきたいのかをしっかりと聞き取りしたうえで、支援内容を決めていくことが重要だと理解したそうです。必要とされている支援をアーティスト側から聞くことを大事にしていくそうです。
- 瀟洒珈房 月織堂
https://tsukiorido.wixsite.com/-site
- 執筆したブログ記事
【アーティストの創作活動支援プログラム・川崎乃佳】活動支援ブログ ~月織堂展示編~
https://ais-p.jp/news/2025/12/05/kawasakishien01/
4-3.HIKARI:シンガーソングライター

本事業に参加して、アートって面白い。自由でいいんだなと思ったとのこと。おとどけアートのアーティスト3名は、インプット・アウトプットの仕方が違っていて、それでいいんだなと思えたことも収穫。素人にも開かれている場が良かった、とのことでした。
要望:私の周りの人も天神山アートスタジオを知らないのが残念なので、もっと周知して欲しい。
- 執筆したブログ記事:シンガーソングライターから見たシリーズ
おとどけアート@本通小学校 https://ais-p.jp/news/2026/01/29/singershondori/
おとどけアート@東川下小学校 https://ais-p.jp/news/2026/01/25/singershigashikawashimo/
おとどけアート@北都小学校 (予定)
ビーチコーミング (予定)
4-4. 舟迫 彩:作家

支援する側として、活動記録、企画会議、パフォーマンスに参加したが、支援になっていたのか疑念があった。もっと具体的な支援ができたのではないかと思っている。しかし、アーティスト支援は展示のサポートだけでなく、場を整えることも重要なのではないかとも思えたとも。そして、自分にできること・できないことも見えたことも良かった。移住者として壁を感じていたが、本事業で繋がりが出来て、自分の幅が広がったことも良かったとのことでした。
改善点:どう支援していいのか不明瞭だったこと。それでも、それを探ることもプロセスとして大事だったのではないかとも思っている。
- 執筆したブログ記事
【アーティストの創作活動支援プログラム・風間雄飛】活動紹介①~③
https://ais-p.jp/news/2025/10/13/yuhikazama01/
https://ais-p.jp/news/2026/02/10/yuhikazama02/
https://ais-p.jp/news/2026/02/18/yuhikazama03/
【アーティストの創作活動支援プログラム・川崎乃佳】活動記録①~②
https://ais-p.jp/news/2025/10/17/nonokakawasaki01/
https://ais-p.jp/news/2025/12/05/nonokakawasaki02/
【アーティストの創作活動支援プログラム・小松菜々子】活動紹介①、③
https://ais-p.jp/news/2025/10/17/nanakokomatsu01/
https://ais-p.jp/news/2026/02/17/nanakokomatsu03/
【おとどけアート】札幌市立東川下小学校× 上ノ大作 活動ブログ
https://ais-p.jp/tag/daisaku-ueno/
【おとどけアート】札幌市立北都小学校×黒田大スケ 活動ブログ(一部)
https://ais-p.jp/tag/daisuke-kuroda/
創作活動支援人材育成プログラム「ハラスメントについて考える会」
https://ais-p.jp/news/2026/01/06/sozokatsudoushien01/
創作活動支援人材育成プログラム「緊張した身体とアーティストのためのほぐす会」
https://ais-p.jp/news/2026/02/18/sozokatsudoushien02/
4-5.成田 真由美:フリーという名の無職

選ばれた支援アーティストへの支援を中心に活動したが、全員に同じようには関われなかった。時間の制約や、自分のやりたいこととれることの違いもあるので限界があるなぁと感じた。
「SURI-PRO」はプロで完結している企画なので、私のような素人には関われないなと思っていたが、一緒にいて記録することや、素直な感想のフィードバックも支援のカタチだと、今日の支援アーティストの報告から知れて良かった。他にもいろいろとご報告したいことはありますが、時間がないので、以上とします。
改善点:AISプランニングよ、頼むからタイムキープしてくれ!(既に12:42)
- 執筆したブログ記事
【チームビルディング】チームビルディング合同会議 第1回~第4回
https://ais-p.jp/news/2025/10/07/godo01/
https://ais-p.jp/news/2025/11/03/godo02/
https://ais-p.jp/news/2026/01/09/godo03/
https://ais-p.jp/news/2026/02/03/godo04/
【アーティストの創作活動支援プログラム・小松菜々子】活動記録② + ④(予定)
https://ais-p.jp/news/2026/01/17/nanakokomatsu02/
【アーティストの創作活動支援プログラム・桑迫伽奈】活動紹介①~②
https://ais-p.jp/news/2025/11/05/kuwasakokana01/
https://ais-p.jp/news/2026/01/06/kuwasakokana02/
【人材育成】コーディネーター見習いの勝手な感想①~③ + ④(予定)
https://ais-p.jp/news/2025/11/04/minarai01/
https://ais-p.jp/news/2025/12/26/minarai02/
https://ais-p.jp/news/2025/12/26/minarai03/
5.コーディネーター小林より総括
3年目だからできた改善点やできたこともあった。幅広く間口を広げることも深く関わることは両方大事なので、ひとりひとりの話をじっくり聞くことを大事にしたいと思っているが、なかなか手が回らなかったことが反省点ではある。
今回は前回の反省を踏まえ、アーティストを中心としたチームビルディングを重要視した。月1回の支援アーティストと人材育成メンバーとの合同会議からは、アーティスト同士の繋がりだけでなく、支援アーティストを中心とした人材育成メンバーとの協働関係ができたことが良かった。
AISプランニングのコーディネーターだけではできなかったことを、人材育成メンバーが補完してくれたことも多い。自分たちの限界を知ることにより、出来そうな方に任せることも重要だとわかった。そして、更にできることとできないことが見えてきた。
人材育成メンバーへの聞き取りができていなかったので、メンバーが支援できているか不安に思っていることに、本日の報告で知れた。不明点を言語化することは、難しいが大切なことだと改めて思った。
12:50終了
お昼休憩のあと、午後の第2部(14:00開始)へ続きます。
写真クレジットのない記事内の写真は、AISプランニング・コーディネーター杉本直貴、人材育成メンバー舟迫彩、成田真由美が撮影したものを使用しました。
人材育成メンバー 成田真由美