2022年度国際公募のレポートです。
1月10日(火)〜22日(日)までSCARTSコートで開催された滞在制作発表の展覧会の様子をご紹介します。
what we borrowed
「借りてきたもの」
Alexandre Kato + Soshi Matsunobe
アレクサンドル・カトー + 松延総司
SCARTSコートの前を通り過ぎれば、自然と目に入ってくる黒い...何でしょうか。
「借りてきたもの」 タイトルのとおり、夕張市清水沢町から借りてきました。石炭です。
2人は、各々の作品制作に「庭」を扱っており、一緒に作品を作りあげた今回も「庭」について、語り合い意見を交わしました。
四角い囲いを作るように並べられた石炭。その中には不規則に置かれた石炭。
中の石炭はただあるのではなく、立ち上がっています。「庭作りは石を建てることからはじまる」のだそうです。
他にも大きな石炭。敷き詰められた石炭。
洗い場には粒の大き目の石炭があり、ホースの先には細かな石炭の山があります。
会場の奥には黒い2つの造形物。
宗谷岬の側にある「ラ・ペルーズ顕彰記念碑」から発想を膨らませ、この場所に再現しました。
また文章の書かれた木の看板がいくつもあります。作品のリサーチの時の出来事や考察、石炭にまつわることなどが書かれています。
会期中、家族連れから、ご高齢の方まで様々な方が訪れました。石炭は寒い冬の北海道には欠かせない燃料でした。その記憶を持っている方々が石炭を懐かしんでみている様子も多々ありました。
石炭は大昔の植物や虫などの化石。長い年月の記憶を持った石炭を、「石炭ストーブ使ってたよ」と子供の頃の話しながらみているおじいちゃんとお孫さん。いろいろな記憶が交差する空間でした。