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【アーティストの創作活動支援プログラム・桑迫伽奈】活動紹介②

一度足を止めて、新たなチャレンジをしようとしている桑迫伽奈さんの支援活動を、人材育成メンバーの成田からご報告します。

今回は、天神山アートスタジオでのレジデンスや「SURI PURO」、「写真に刺繍をしてみる」ワークショップなどの活動に関して、桑迫さんからお話を伺い記事にしました。

https://kanakuwasako.com

 

・【審査結果のお知らせ】アーティストの創作活動支援プログラム

https://ais-p.jp/news/2025/09/12/artist/

天神山には野生動物も棲んでいます

写真中央やや右寄りの枝の上にエゾリスがいます

 

1.天神山アートスタジオでのレジデンス

桑迫さんは、日常と距離を置いてみる期間として、11月中旬に天神山アートスタジオに、約2週間のレジデンス滞在をしました。今までは、旅(自宅から離れる)と言えば制作のための移動ばかりだったそうです。桑迫さんだけでなく、アーティストが中長期のレジデンス滞在を行う場合は、その他の業務を調整しなければならず、なかなかにそのハードルは高いようです(レジデンス受け入れ側からもよく聞く課題です)。桑迫さんは、自宅のある札幌市内でのレジデンスなので、必要があれば山を下りればよいという環境は気持ち(荷造り)が楽だったと言います。滞在中は、作品制作だけでなく仕事もあまりせず、朝早く起きて天神山公園を散歩したり、ぼ~としてみたりする予定だったとのことです。

日常とは切り離されたレジデンスという時間は、自分にとってどう心地よい時間にするのかも重要で、それはそれ以降の作品制作への準備にもなるのだろうと話していました。桑迫さんにとって、今回の天神山アートスタジオでのレジデンスという日常から隔絶された時間は、ほどよく心地よい時間を過ごすことができたと語っていました。ふり返ったり立ち止まったりすることは、日常の中ではなかなかできないことなので、刺激過多にならず、ハイにならずに過ごせる期間(作品制作のためではないレジデンス)を経験できたことは良かったと。ですが、滞在後にふり返ってみると「ただぼんやりして過ごすのって、私は苦手みたい」と笑っていました。。

そして、なにやら新しい発見もあったとのこと。

 

2.「SURI-PRO

滞在前から桑迫さんは、同じ支援アーティストのおひとり、風間飛雄さんの「SURI-PRO」(※1)に参加しています。このコラボレーションは、チームビルディング事業の合同会議の時に風間さんの報告を聞いたことがきっかけでした。天神山アートスタジオに滞在中も、「SURI-PRO」の制作活動は進んでいたそうです。

  • 2回チームビルディング合同会議

https://ais-p.jp/news/2025/11/03/godo02/

 

1SURI-PRO」とは、

「摺師として、様々な分野のアーティストの作品を版画作品に落とし込むことで、よりアーティストの作品の魅力を伝えつつ、版画の様々な側面を発信していく」という狙いのある活動です。

 

  • 【アーティストの創作活動支援プログラム・風間雄飛】活動紹介①

https://ais-p.jp/news/2025/10/13/yuhikazama01/

銅板をカットして、プレートマークをつける(四辺をやすりで削る)作業から始まります

撮影:桑迫さん

札幌芸術の森 版画工房での「SURI-PRO」の様子

撮影:人材育成メンバー舟迫さん

 

展覧会のために制作する(締め切りがある)わけではないので、制作のひとつひとつの過程を、焦らずに取り組めているとのこと。桑迫さんは12年ぶりの銅版画とのことで、当時わからなかったことを風間さん教えてもらいながら制作しているそうです。今までは展覧会に合わせた制作が多かったので、成果・結果に確信のあることを中心に制作せざるを得なかったけれど、一緒に悩んでくれる専門的な知識のある方に支えてもらいながら新しいことにチャレンジできる制作環境は安心と同時に刺激のある時間のようです。

「制作のため(展覧会のため)ではない制作(新しい技法を自分のものにする)」は、今後の活動の糧になるのだろうと思いました。まだ試行錯誤の時間のようですが、最終的にはA3程度の作品を作りたいとのことでした。

 

3.『写真に刺繍をしてみる』ワークショップ

桑迫さんは、天神山アートスタジオのレジデンス滞在期間中に「天神山OPEN STUDIO」でワークショップを開催しました。「天神山OPEN STUDIO」はほぼ毎月開催されている、滞在アーティストと札幌市民の交流の場です。展覧会やアーティストトーク、ワークショップなど様々なコンテンツがあり、どなたでも参加できます(基本場参加無料、予約不要、入退場自由)。11月23日はプログラムが盛り沢山でした。

  • 11/23】今年最後のOPEN STUDIO vol.06 1123日(日)開催!!

https://tenjinyamastudio.jp/event/open-studio-vol-06

 

桑迫さんのワークショップの紹介はこちら

  • 11/23】『写真に刺繍をしてみる』ワークショップ開催!

https://tenjinyamastudio.jp/event/2511ws

 

桑迫さんが撮影し加工したポストカードサイズの写真に、自分で選んだ糸を刺していきます。ワークショップのテーブルの真ん中に様々な色の刺繍糸や毛糸が積み上げられています。道具類(針やハサミなどなど)もひとりずつではなく、数人でシェアする感じでした。それが功を奏して、参加者同士は声をかけ合い、先に参加した方が後から参加した方に刺繍のコツを教えたり、おしゃべりしつつ制作が進みます。「写真に刺繍をしてみる」ワークショップは、予定していた素材写真がなくなるほどの盛況ぶりでした。

ワークショップ会場の様子

撮影:桑迫さん

 

桑迫さんは、ひたすら中国茶を入れていたそうです。私は制作とおしゃべりに夢中で気が付きませんでした。桑迫さんが気にしていたのは、参加者の表情だったそうです。手作業の楽しさを味わえているのかが重要だとのこと。このワークショップは作品を作り終えることが重要なのではなく、目の前の現象(写真)からイメージ(刺繍)を広げるための手段としての「写真に刺繍をしてみる」というワークショップだと、桑迫さんは言っていました。「完成」も制作している本人が決めることなので、本人が満足した瞬間が「完成」とのことでした。参加者は作業が楽し過ぎるみたいで、予定時間を大きく超えて、それぞれの世界が広げていました。

4.今後の活動

桑迫さんの直近の制作活動としては、「SURI-PRO」のコラボレーションが中心となりそうです。展覧会の予定も特に組んでいないようです。私はそれでよいと思います。桑迫さんにとって「アーティストの創造活動を支援するためのチームビルディング事業」が、焦らずじっくりと作品に向き合えるような、足元を固めるような時間になっていればいいなぁと思っています。そして桑迫さんは、時が来たらいつでも飛び立てるように準備をしているのだと思います。

 

人材育成メンバー 成田真由美