天神山滞在ブログTenjin_blog

【レポート】馬域+蒼野甘夏による詩の朗読会【Report】Poetry Reading with Wik Ma + Amanatsu Aono

2022/12/24

 

香港からやってきたアーティスト・馬域(ウィック・マ)さんと東京拠点の日本画家・蒼野甘夏さんが、12月4日に詩の朗読会を主催しました。

 

数日前に共同キッチンではじめて顔を合わせた二人。朗読会開催のきっかけは、馬さんから蒼野さんへのお誘いだったそう。世間話をしていたら蒼野さんの美声に馬さんが聴き入ってしまい、自分の書いた詩をぜひ一緒に読みたい!と提案してみたそうです。

 

 

こうして半ばゲリラ的に開催が決定した朗読会ですが、滞在アーティストとスタッフあわせて計7名の参加者が集まりました。参加者に配布されたのが、こちらのA4判ハンドアウト。馬さんと詩人仲間による7篇の詩が、広東語、日本語、英語の3バージョンで印刷されています。

 

 

まずは馬域さんの滞在スタジオに全員集合。

造類(ゾウルイ)、ソフィー・ドゥ・セリエマッティー・ウォン、国際公募招聘アーティストのアレックス・カトー、そして主催のふたりとスタッフひとり、というメンバーです。

馬さんが滞在中に撮影した天神山アートスタジオ近郊の風景写真を眺めつつ、歓談もしつつ、朗読会はゆるゆると始まりました。

 

 

 

はじめに、6篇18パターンの詩を希望者が輪読していきます。

 

(左:アレックス・カトー、右:造類)

 

(奥:馬域、手前:蒼野甘夏)

 

馬さんは、主に広東語朗読とMC担当。

朗読には慣れているようで、声色やスピードや間を繊細に調整しながら聴衆をぐっと引き込みます。部屋は静かです。

 

 

最後の1篇3パターンは、屋外で朗読しました。

夕方、日が落ちて雪原はとても静謐ないい雰囲気。なのですが、寒さで声は少し震えます。

詩の日本語タイトルは〈荒れ果てた大草原と暖かい大草原〉。

 

(マッティー・ウォン)

 

(蒼野)

 

「荒れ果てた大草原は空虚です。寂しくなったら暖かい大草原に行きましょう。ほんのわずかな間隔です……」

ふだん日本画家として活動する蒼野さんは今回、人生初(!)の詩の朗読に挑戦。日本語パートを担当しました。骨太の響く声にすっきりした滑舌が見事で、体の震えを一瞬忘れて聞き入ってしまいます。

 

(左から:馬、蒼野、造類、ソフィー・ドゥ・セリエ)

 

7篇すべて読み終えると、館内に戻り一階の談話交流室へ。暖房の効いた部屋でカジュアルなアフタートークがはじまりました。

 

(左から:カトー、馬、蒼野)

 

トークでは詩が作られた背景や、翻訳による意味の取りこぼしなどを馬さんがひとつひとつ丁寧に説明してくれました。

参加者も詩の内容や馬域さんの活動について質問したり、7篇から気に入った詩を挙げ好きなポイントを語ったり。卓を囲んでのやりとりに盛り上がっていたら、あっというまに時間が過ぎていきました。

 

 

天神山では数年ぶりに開催された詩の朗読会。蒼野さんの美声と馬さんの行動力、そして熱意のおかげで、主催・参加の両アーティストにとって充実のひとときとなったようです。

 

(スタッフ 五十嵐)