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シンガーソングライターから見たおとどけアート@本通小学校

こんにちは。AISプランニングの人材育成プログラムに参加している、シンガーソングライターのHIKARIです。

今回サポーターとしておとどけアートに参加しましたが、コーディネーターの小林さんから「アーティスト目線でのレポートがあると面白いかも」とのお言葉をいただいたので、活動を振り返りながら記事を書いてみました。今回お伝えするのは、本通小学校でのおとどけアートです。

今回のアーティスト・小林さんはがみんなと同じ立ち位置に居ることを大切にしている方だなと思いました。登校初日、小林さんは全校朝会でご自身を苗字ではなく「あっち」と紹介していました。実際に子ども達に会った時も「あっちって呼んで~」と声かけていて、大人というより友達に近い立ち位置にいらっしゃいました。また我々サポーターに対しては、制作過程や今後やってみたいことなどを共有して一緒に考えるプロセスが多く、上下の関係というより同じ立ち位置にいる仲間として活動を進めてくださっていた印象です。

みな等しく同じ位置にいるから「面白いな、素敵だな」と思ったものを素直に受け止め、ご自身の創作活動の糧になるのだなと感じました。

回を重ねるごとにやることも巻き込む人数も増えていき、子どもも大人も小林さんのおかげで各々ピンときた面白いことに出会い、(いい意味で)巻き込まれ、大きな広がりとなったおとどけアートでした。

そして本通小学校では、小林さんとのお話から「青いお屋根」「ちぢみえや/おえかきや」、子ども達から集めた“すきなことば”を歌詞にした「空」「未来」の計4曲を作らせていただきました。自分でもこんなに作るとは思っておらず、驚いています。自分の記録用としても、時系列にそって書いてみようと思います。お付き合いいただければ幸いです。

【「青いお屋根」から始まった曲作り】

本通小学校での曲作りは、帰り道の車内で小林さんと話した、本通小学校の副校歌から始まりました。本通小学校の校歌は二つあり、副校歌の「ぼくらの青いお屋根」は旧校舎の屋根が青かったことから作られたそうです。旧校舎の青いお屋根はもうありませんが、子ども達は由来を知っており、今も副校歌を歌っています。校歌を作った当時の方々と直接話したわけでもないのに、曲も由来も今を生きる子ども達に伝わっている事に、大げさかもしれませんが感動しました。言葉や音楽にはそういう力があるのだなと。

そのことを小林さんと話している中で「“青いお屋根”をキーワードに何か創りたいね」となり、曲を作ることになりました。この日の夜には音楽コンテストの演奏が控えていたのですが、演奏するよりも曲を作りたくてうずうずしてました。

私は思ったことをなんでもA6ノートに書く癖があり、よくわからないけど心に残った出来事や、読書や鑑賞記録、鬱憤や喜びなど、雑多に書き出しています。そして大体、人が寝静まる深夜に部屋の隅で書いています。一人静かにこもるのが好きなんです。演奏を終え帰宅した深夜、部屋の隅でぼーっとしていると、小林さんとの話が連想ゲームのように思い出されていきました。副校歌、青いお屋根、一人になりたい、隠れたい。うつうつしているわけじゃない、一人はただただ心地いい。そこまで出てきて「なんか書きたい」と思い、書いた言葉がこちら。

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一人になります 青いお屋根

さんさん しんしん もくもくと

二人になります 青いお屋根

しんしん ぽつぽつ くすくすと

三人になります 青いお屋根

むかむか アハハ ニコニコと

いっぱいになります 青いお屋根

どんどん ギャーギャー ワクワクと

これから何が起こるだろう

始まりは いつも青いお屋根から

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こういった「書きたい」という勢いで書き出すと、途中で何が言いたいのか、言葉を選んだり修正することがあるのですが、今回は修正が一度も入りませんでした。自分で理解するより前に言いたいことが決まっていた感じがします。書き終わった後、これは曲にできると確信しました。そして出来た曲がこちら。

「一人になりたい」という気持ちはあまりポジティブに受け取られませんが、一人だからこそ、始まることがあると思います。一人で考えること、作ること、書く、聴く、動く、しゃべること。私の場合、結果として音楽という成果物になりましたが、音楽にならずとも、それらは私を支えてくれる柱になりました。だから「別にうつうつとしてるわけではなくて、一人でいることも好ましい状態である」ことが伝わる曲を作りたかったんだな、と振り返って思います。完成した曲は小林さんをはじめサポーターの皆さんも気に入ってくださり、形に出来てよかったなと思いました。

【紙を集めることから始まった「“すきなことば”集め」】

今回のおとどけアートでは「子ども達からいらない紙を集めて大きな幕を作りたい」ということで、専用ボックスを作りそこに投函してもらう形で紙を集めていました。たくさん必要になると踏んだのでどうやったら紙が集まるか話したところ、「子ども達が“何か”を書いた紙を回収すればいいのでは?」となり、子ども達の“すきなことば”を集めることが決定しました。こちらも専用ボックスを作りこのように配置。

箱のそばに文庫サイズの紙束とペンを置き、子どもたちに「"すきなことば"を書いてこの箱に入れてね」とお願いをして、その日は終了。

2週間後。設置場所の紙はすっからかんで、ボックスには大量の"すきなことば"たちが入っていました。なんならいらない紙専用ボックスにも入っていました。しかも、「紙が無いから書けないー!」と言われる始末。めちゃくちゃ好評で嬉しかったです。

早速もらった言葉をサポーターのメンバーで見ながら、名詞、動詞、形容詞、イラスト、その他にざっくりと仕分け始めてみました。いやー面白い。言葉自体はもちろん、文章やことわざを書いてくれたり、食べ物や名前、キャラクターや推し、歌詞に絵に計算式まで…紙に書いてもらったみんなの“すき”を眺める時間はとても楽しかったです。知らない言葉との出会いはみんなの"すき"を知るきっかけに、知っている言葉との出会いはみんなと"すき"を分かち合う時間になりました。

そしてもらった言葉の中から、なんとなく惹かれたものを選んで並べてみたり、眺めていて思いついた詩のようなものを、教室にあったホワイトボードに書いていったりしました。

この言葉を編む作業が結構楽しかったです。みんなから遊び道具をもらった感じ。自分は曲歌詞から曲を作ることが多く、「この言葉をどんな音で言ってみたいか」とか「一文字違うだけで浮かぶ情景が変わって面白いな」とか、日本語で遊びながら作っています。それが自分にとっての醍醐味でもあります。だから目の前に広がるみんなの“すきなことば”を見て、ワクワクがこみあげてきたんだと思います。ホワイトボードに書いているときは、ゾーンに入ったみたいに夢中になっていました。ホント楽しかったので、いつかまたやりたいと思います。

【すきの反対からできた「きらいでも」】

ここから「空」「未来」が生まれて・・と続くはずなのですが、実はそれより前にできちゃった曲があるんですね。それがこの、“たまごきらい”という言葉から作った「きらいでも」です。

この曲を作った時、「“すきなことば”集めてます!って自分で言っといて、それはないだろ~」と思いました。でも、「すきなことば」を集めているところに「きらいなもの」を書くへそ曲がり具合と、反発してる割にのほほんとしたイラスト描くやわらかさが面白くて、気が付いたら作っちゃってました・・・大人としてどうなんだろう。「“すきなことば”って言ったのに・・・」と子ども達にも嫌な気持ちさせてしまうから、これはもうお蔵入りだなと思っていたのですが、同時進行している東川下小学校で奇跡が起きるんですね・・・詳しくはこちら

シンガーソングライターから見たおとどけアート@東川下小学校 – AISプランニング

【学校の窓から、屋根から感じる「空」】

先程の曲はいったん置いといて、回収した“すきなことば”は家に持ち帰り、歌詞を考える度、毎回床に並べてじっと見つめる作業を繰り返してました。

その中で特に目を引いたのは「雪がふる」という言葉でした。単語ではなく文章であったこともあり、「ここから始まる言葉、景色って何だろうな」と想像をくすぐられました。そうするとほかの言葉が目に入ってくるようになり、登校中みんなが雪だるまを作る様子を窓から眺めたり、屋根の上でみんなが星を眺める姿が頭に浮かびました。そしてできた曲がこちらの「空」です。

この曲の歌詞を作る時、言葉が知らないところに連れて行ってくれるような心地がしました。書ききると自分でも予想できなかった情景が出来上がっていて、こういう作り方も面白いなと思いました。そして小林さんが、この曲と私がInstagramのストーリーズで共有した写真から「窓に歌詞を貼ってみないか」と提案してくださり、おとどけアートの展示スペースに歌を展示してくださいました。

Instagramのストーリーズで共有した写真

PARCO×五十嵐威暢「A–Z Homage to Takenobu Igarashi」展

文字が窓に貼ってある。それだけなのに、いつもの場所自体が一つの作品のように感じられました。先生方や子ども達からも「おお!」と感嘆の声が聞こえてきました。

【チンドン屋とプラ板から生まれた「ちぢみえや」と寝そべり即興曲「おえかきや」】

「ちぢみえや」は、小林さんとの作戦会議で浮上した、子ども達とのプラ板制作が始まりです。小林さんは石や粘土で作ったオブジェなど小さいものがお好きで、我々にもお見せしてくれていました。プラ板はその中にあった物で、今の子たちは知らないかもしれないし面白い化学反応が起こりそう!と話がまとまっていきました。

プラ板制作当日、小林さんの車で小学校に向かっていたのですが、その際「狸小路にもチンドン屋ってあったよねー」という話が上がったのです。初めて聞いたのでどんなものなのか伺うと、太鼓などの楽器を鳴らしながら町を歩き、舞台や商品の宣伝をする人たちを言うそうです。私は見たことがないけれどその話を聴いて、自分だったらどんな音を鳴らしながら狸小路を歩くか想像していました。その時、小林さんが今回のプラ板制作を「ちぢみえや」と話されていて、それを聞いた瞬間「あ、それチンドン屋みたく言いたい。」となりました。

小学校に到着後、作業場で一気にコードを書き上げ、小林さんに小さいものの好きな所を聞いたりしながら完成しました。その時走り書きした楽譜がこちら。

そしてチンドン屋のつもりで呼び込み演奏をしました。プラ板制作に行った子もいたし、サビの「ちぢみえや~♩」でナルトダンスしてくれた子もいました。

たった一回の中休みで行った、プラ板制作のための曲「ちぢみえや」。とても限定的な曲ですが、「『この時間のためだけ』という特別感があって好きだな」と思いました。

そしてこの曲は、寝そべり即興曲「おえかきや」として形を変えお目見えいたしました。

小林さんが10mほどのロール紙に寝転んで、その周りを子ども達にスポンジがついた絵筆、通称スポンジ絵筆で描いてもらうプロジェクトも進行しており、私も寝転ぶことになったのですが、当日準備をしていた時、小林さんから「寝ながら歌える?」と聞かれ、急遽歌うことになりました。

その時私は驚きつつも「なにそれ楽しそう!やりたい!」と脳内で小躍りしていました。小林さんの発想力、すごい。

そして寝そべって何を歌うか考えたとき、「ちぢみえや」が頭に浮かびました。「今度は絵を描いてもらうための呼び込みをするから『おえかきや』だな」となり、スポンジ絵筆を持った子や紙の上に寝転ぶ謎の二人を不思議そうに見る子を見て、思いつくまま歌ってみました。その歌詞がこちら。

寝転ぶ人が急に歌いだしたのでより謎が深まったかもしれませんが、スポンジ絵筆を持った子は歌に合わせてリズムをとりながら描いてくれました。中には一緒に「おえかきや~♩」と口ずさんでくれた子もいました。初めて聞くのに歌えることに驚きました。その様子は下記ブログから見れますので是非ご覧ください。

【おとどけアート】札幌市立本通小学校× 小林麻美 活動ブログ11 – AISプランニング

またこの即興性が癖になってしまい、東川下小学校でも進行していた、2mほどの絵筆を使って子ども達に絵を描いてもらうプロジェクトでも歌わせていただきました。

「ちぢみえや」も「おえかきや」も、衝動に素直に従って即興的に作りました。この場/時間のためだけの曲だからこそ作れたし、こんなにスピード感があったのかなと思います。「ちぢみえや」の音源はアップしていますので、もしよかったら聞いてみてください。

【大合奏できるかも?!みんなと掛け合いした「未来」】

“すきなことば”を並べているとき、「これは形にしたい!」と強く惹かれた言葉があります。それは「ありがとう」です。この言葉を子ども達が投函してくれたと思うと、見るだけで心が温まりました。個人差はあると思いますが、この言葉は言う方も言われる方も、どちらもパワーをもらえる言葉だと感じています。だから音に乗せて言いたいなと思いました。

しかし「ありがとう」という言葉を入れたいと思えば思うほど、その言葉にしっくりくるメロディーが思いつきませんでした。加えて小林さんとの作戦会議で活動最終日にライブをすることが決まっていたため、完成させないと・・・と焦っていたので、より難航していきました。なので、一旦曲のことは忘れ「今の自分はこの言葉をどう言いたいか」を考えることにしました。いつもそうやって作っていたので。すると「ありがとうから始まる」というフレーズが出てきました。

 

パーンッ!と突き抜けていくようなメロディーに乗ったこのフレーズ。なぜ出たのかしばし考えていると、形にしたいことが見え始めてきたので、A6ノートに書きだしてみました。なぜ「ありがとう」に惹かれたのか、パワーをもらえるのか。それらを頭の片隅に置きながら書き出した結果、「あなたへの『ありがとう』で関係が始まり、それは私とあなたの間を循環し、互いを支えていること」を形にしたいのだとわかりました。

そこから一気に曲の全体像が出来上がったのですが、サビの「ありがとうから始まる~♩」の伸ばすところで掛け合いが入っていたんですね・・・歌うのは一人なのに。

どうしようか考えたときに、小学校のみんなのことを思い出しました。「今は一人じゃないから歌えるかも!それにライブで一緒に歌えば曲が出来上がるって最高じゃん!」と思い、サビ以外にも歌える箇所を増やして仕上げていきました。それがこちらの「未来」です。

歌詞とメロディーを確認できるように楽譜も用意したのですが、以前多目的室でピアノを披露してくれた子のことを思い出し、「ピアノ譜があればもっと音楽を楽しめる子がいるかも」と思ったので、ピアノ譜も作ることにしました。ピアノは弾けないのでYouTubeでピアノ譜作成方法を調べたり、ピアノが弾ける友人にアドバイスをもらいながら作りました。出来上がった楽譜はおとどけアートの展示コーナーにおいて、ほしい人が手に取るシステムにしました。楽譜が読めなくても動画で音が聴けるよう、QRコードも添えておきました。

そして迎えたライブ当日。会場前の階段にも二階三階の手すりにも人が集まり、ピアノを弾きたい子も二人来てくれました!

窓際に楽譜を置いただけなのに、届いたことがすごく嬉しかったです。そして「未来」の演奏をはじめ、歌ってほしいパートが近づいてきました。特に強くお願いしていなかったので無音も覚悟していたのですが、客席から「くーるくーる♩」と歌声が!!心の中で大号泣していました。実は1年生の担任の先生が、せっかくの機会だからと子ども達と動画を観ながら練習してくださっていたんです。お忙しい中、いつもおとどけアートを気にかけてくださった先生で、図工の授業や給食時間に子ども達と関わる時間を作ってくださいました。本当にありがとうございます。

そして演奏中、なんと!紙吹雪が!降ってきましたー!!

(写真右側の白い四角が紙吹雪です)

あとで小林さんに聞くと、「本通小学校にかくされたものガチャ」という、ガチャのカプセルに入った指示書を実行するアートプロジェクトで、「ライブのここが良いと思ったところで、カプセルの中の紙吹雪を上から降らせる」という指示書を忍ばせていたそうです!ほかにも「ハンドクラップをする」「アンコールを言う」などなど、ライブに合わせた指示書を作ってくださっていました。

指示を受け取った皆さん。

指示を知っているのは自分だけなのに、沢山の人の中で実行するのは、楽しさと怖さが混じってドキドキしたと思います。でも、勇気を出して実行してくれてどうもありがとう!おかげでライブが素敵なものになりました!

ピアノを弾いたり歌を歌ってくれた子。

手やガチャガチャのカプセルでリズムを作ってくれた子。

紙吹雪を降らせたり「アンコール」と言ってステージを盛り上げてくれた子。

そしてその場に居なくても、何かアクションを取っていなくとも、耳を傾けてくれた子。

それぞれがそれぞれにしっくりくる形で音楽を楽しんでくれたことが、私はとても嬉しかったです。

ライブに参加してくれてありがとうございました!

そして本通小学校で披露した「青いお屋根」「空」「未来」の楽譜は、旧校舎の語らいコーナーと多目的室に置かせていただきました。

弾いても弾かなくてもどっちでもいいです。ただ「なんか楽譜あるんだけど?」と不思議に思ってもらえたら嬉しいです。

東川下小学校に引き続き、本通小学校でもサポーター兼アーティストとして関わらせていただきましたが、子ども達や小林さんとこんなにたくさん創作活動をするとは思っていませんでした。子ども達との直接的な会話や、“すきなことば”などの創作活動を介しての間接的なコミュニケーション、そして小林さんと(勝手な見解ですが)同じ立ち位置に立ってのやり取り。ずっと、対人間同士で話してる感覚でした。だからフラットな気持ちで登校することができ、その度新しいアイデアが生まれたのかなと思います。ありがたい経験をしたなと、改めて思います。

そしてボリュームがありすぎてここまでで6000字超えてしまいました。多すぎ。ここまで読んでいただいた皆様、本当にありがとうございます。

最後に。この記事を書いているシンガーソングライターに興味を持った方。下記リンクからYouTubeや各SNSに飛べます。

これから音楽を軸に多方面に活躍しようと思っておりますので、少しでも気にかけていただけたら幸いです。ではまた。

HIKARI lit.link(リットリンク)