厳しい寒さが続く札幌へ、京都からひとりのアーティストがやってきました。
黒田大スケさんです。

【2025年度おとどけアートのアーティスト紹介はこちら↓】
https://ais-p.jp/news/2025/07/27/2025_otodoke_info_01/
きょう2026年1月19日から1月30日までの約2週間、黒田さんは白石区にある市立北都小学校に「転校生」として通います。
初日の今日は、校長室発信のテレビ全校朝会で学校の皆さんにご挨拶。
朝礼MCの校長先生に放送システムの操作を教えていただきつつ、つつがなく進む全校朝会。

最後は皆さんへのメッセージで締めます。
「今日こんな不思議なことがあったとか、学校のこととか。
いろいろお話ききたいと思っているので、もしぼくを見かけたら、気軽に声かけてください」。

黒田さんのこと、おとどけアートのこと、みなさん覚えてくれたでしょうか?
ドキドキそわそわしつつ朝礼を終え、急いで取りかかったのは、校内での拠点探し。
1月16日(金)の先生方へのご挨拶のさい教えていただいた、図書室のひとつを使わせていただくことになりました。
その名も〈開放図書室〉。


拠点に荷物を置いたら、小学校に関する資料をお借りします。
北都小学校を開校以来記録した写真アルバム類です。




アルバムをスタッフ総出で少しずつ開放図書室に運び込み終えると、一息つくまもなく校長室へ。
本棚から歴代卒業アルバムをお借りして、運び込みます。

行事や授業の風景を記録した写真アルバムと、卒業生たちの作文を収めた卒業アルバム、それから、白石区や北都小学校周辺地域の歴史について書かれた書籍群。
これらが積み上がって、開放図書室は急にちょっとだけ狭くなりました。

すると部屋の中央にスタッフを集めて、黒田さんがこう言いました。

「とりあえず、これから、ぼくはこれに全部目を通そうと思います。
みなさんもよかったら一緒に読んでもらって、なにか気になる写真や文章があったら、ぼくに教えてください。
特に、教室の壁とかに貼り出されている、当時の先生たちが自分たちのクラス用に作った〈標語〉みたいなやつが映り込んでいたら、記録しておいてください」。
というわけで、スタッフ総出でアルバムを漁る作業に取りかかります。

1973年の開校以来の歴史がつまったアルバムは、もちろん重いし厚いしほこりっぽいですが、
めくるたびに鮮明なイメージが出現してワクワクします。



中休みになると、お手伝いで来てくれているシンガーソングライターのHIKARIさんが、ギターで弾き語りウォークに出かけるというので、黒田さんはその後ろについていくことに。

2、3階の広場での弾き語りが始まると、近くの教室から出てきた子や廊下にいた子がHIKARIさんを取り囲みます。
黒田さんも子どもたちと一緒に演奏に聴き入りつつ、たまに廊下で子どもたちと話したり、窓の外を眺めたりしています。




ふと見ると、演奏に夢中な子どもたちを後ろから見守る先生たちの姿も。
なかには、数年前に別の学校でのおとどけアートに参加してくださったという先生もいて、めぐり合わせに驚きました。
中休みはあっというまに過ぎ、開放図書室へ戻った一同。
再び資料読みの時間です。
わりと黙々と読みつつ、スタッフとの会話は欠かさない黒田さん。
お互いの発見をシェアしながら、楽しそうに次々めくるスタッフのHIKARIさん&舟迫さん。
分厚い資料から逃れられない場面で作業に楽しさを確保するための、人それぞれの工夫が垣間見えます。




めくる合間にギターも登場してきたところで、あっという間に給食の時間です。
今日は2年生の教室へお邪魔することになりました。
メインディッシュは、たぬきうどん!


実はとても緊張しながら皆さんの教室にお邪魔した黒田さん。
でも北都小での初めての給食は、子どもたちとのいい出会いの時間になったようです。
「学校は楽しいか」という先生の質問に挙手で「いいえ」と答えた子もいた、でもそれっていつの時代のどんな学校でも当然あることだよなあ……などなど、黒田さんの琴線に触れたできごとがいろいろとあったようでした。
昼休みは、黒田さんの希望で体育館へ。
HIKARIさんのギターを筆頭に、そーっと扉を抜けます。

入ってみると、猛烈に駆け回っている子どもたち……いや、よく見ると大人たちも。さっき広場でリサイタルを見守っていた先生たちが、体育館で爆走しています。
確認したところ、体育館の利用割り当て学年の担任の先生たちなんだそう。
これだけ広い体育館を、決まった学年と先生たちだけで走り回っていいわけですから……追いかけっこも開放感がすごそう。
いや、でも先生がいると、むしろ少し緊張感が発生するかもしれないですね。
と、目まぐるしいスピード感の体育館内を、しばし遠い目で眺めていた黒田さん。
あるタイミングで、木製の巨大標語パネルに近づきます。その次は校歌の巨大パネルへ。
これはもしや、〈標語〉イメージ集めと関係があるのでしょうか。ないのでしょうか。




恒久パネルの観察に加え、子どもたちと話す時間もとりつつ、昼休みは終了。
再び開放図書室での資料読みの時間に突入します。

そういえば今朝、おとどけアートのお手伝い中も熱心に歌詞を書いたりメロディを口ずさんだりしているHIKARIさんに、黒田さんがある提案をしていました。
「いろんな曲がつくれるんですね。じゃあ、リサーチの曲、とかも作れますか?」

リサーチとはなんなのか。
黒田さんの制作においてリサーチはどういう作業なのか。
……黒田さんへ質問を重ねて、HIKARIさんは午後の資料読みの隙間時間にも、曲作りを進めています。
「リサーチって、感情を素直に出す自分の曲作りとは縁遠そうだけど、
そんなことをしてるアーティストもいるのかあ……って、新鮮に思えます」。
リサーチソングが完成した暁には、一同に披露してくれるそうです。楽しみ〜
と、少し眠くなってきた人もいるタイミングで、開放図書室に訪問者が。

「あ、どうも!」
北都小学校の校長、藤根先生です。
藤根先生は、これまでおとどけアートの受け入れ校を4度経験してきた大ベテラン。
対外的に「わかりやすい」成果を出す華やかなタイプのアーティストに限らず、わかりにくくて地道でも新しく面白い実践を展開するアーティストたちのことまで、その大きな器で受け止めてきてくださいました。
ときに難解で地道な関わりを、子どもたちと日々丁寧に重ねているだけあって、アーティストやその活動の複雑さにも、辛抱強く付き合ってくださっているのかもしれません。

黒田さんの活動状況を尋ねつつ、
近年の記念写真や卒業アルバム用作文はデータ化が進んでいるよと教えてくれたり、
北都小にはこんな子がいて、あんな子がいて、今日黒田さんが出会ったあの子はいつもはこんな感じで……と、子どもたちの普段の様子も事細かに教えてくれました。
先生の鋭い観察眼と、子どもたちへの信頼を感じるひとときです。
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以上、今日は子どもたちとの距離をはかりつつ、北都小学校の歴史を語る貴重な資料にどっぷり浸かる1日になりました。
明日からも続きそうな資料リサーチは、どんなプロセスになっていくのかまったく未知数ですが、急がず焦らず。
今日も明日も粛々と漁っていくことになりそうです。