天神山滞在ブログTenjin_blog

芸術係数 札幌 「『関係性の美学』を読む

3月27、28、29日開催
芸術係数 札幌 「『関係性の美学』を読む

こちらの読書会について紹介します。

天神山アートスタジオに滞在予定の辻憲行さんを講師に迎え、
会場もなんと天神山アートスタジオの交流スタジオです。
すでに定員に達しているということですが、アーティスト(や作家)、地域交流を主軸にしている天神山アートスタジオとしてはとても興味深い読書会なのでご紹介します。

芸術係数 札幌 「『関係性の美学』を読む ―なぜ参加・コミュニケーション・相互性はアートの問題なのか?」

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昨夏開催された札幌国際芸術祭2014では、市民参加プロジェクト型の作品、プログラムが特に注目され、アーティストや参加者の達成感は並々ならぬものであったと言えます。同時期には、札幌市により「アートしてる」という標語のプロモートが行われるなど、「参加」「実施」「楽しさ」ということに着目されています。一方で、そうした関与自体が、「それがなぜアートなのか」という事を証明してくれるわけではありません。そうしたプロジェクトがアートの枠組みの中で実施されるのはなぜなのか。なぜ「関係」はアートから眼差しを向けられたのか。その源流を「リレーショナル・アート」を提唱したフランス人キュレーター、ニコラ・ブリオーの著作『関係性の美学』(1998年刊)を通じて探ります。プロジェクトに参加したひとりひとりが、「私の経験が、どのようにアートでありえるのか」を考える集中講義。講師にはキュレーター、翻訳者の辻憲行氏を迎え開催します。

■日程:2015年3月27日(金)〜3月29日(日)
■講師:辻憲行(「芸術係数」主宰、キュレーター、翻訳者)
■会場:さっぽろ天神山アートスタジオ 交流スタジオC
■企画:大下裕司
■実施スケジュール

3/27(金)
講義 変化する「アート」…19:00〜20:30(90分)

3/28(土)
講義 1990年代のアート…10:00〜11:30(90分)
講義 アーティストは何を見せ、私たちは何を見るのか…14:00〜15:30(90分)
補講 …16:30〜※講義参加者向け

3/29(日)
講義 アートの価値…10:00〜11:30(90分)

■講師 辻憲行
1970年生まれ。キュレーター/翻訳。山口大学大学院人文科学研究科美学美術史専攻修了。1998年から2006年まで秋吉台国際芸術村(山口県)にてチーフ・キュレーターとしてレジデンス、展覧会、WS、セミナーなどの企画・運営を行う。2008年から2010年まで東京都写真美術館学芸員。主な企画展(共同企画も含む)は、「アート・イン・ザ・ホーム」(2001)、「チャンネル0」(2004)、「トランスフォーマー」(2005)、第1回/第2回恵比寿映像祭(2009/2010)、藤城嘘個展「キャラクトロニカ」(2013)、「ア・ワールド・ピクチュア」展(2013)。芸術係数主宰。

■『関係性の美学』(ニコラ・ブリオー著、1998年フランスにて刊)
フランス人キュレーターで批評家のニコラ・ブリオーが、当時美術批評やアカデミックな世界では無視されていた、「関係性」の探求を主題にする同時代のアーティストや作品の理論的背景を考察することを第一の目的としてまとめた論考集である。
本書は2002年の英語版の刊行後、中国語や韓国語含んで現在までに12カ国語に翻訳されており、幅広い読者を獲得することとなっている。
「関係性の美学」は最初に公にされてから既に20年が経過するコンセプトではある。しかし2000年代広範に入ってリクリット・ティラバーニャやピエール・ユイグ、ドミニク・ゴンザレス・フォレステルらが世界的に評価を高め、後継世代とも言える、ティノ・セーガルやマーティン・クリード、スラシ・クソンウォンらが注目を集めるなど、その後も影響力を維持していると言えるだろう。

-芸術係数HP
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