画像提供|Minatomachi Art Table, Nagoya [MAT, Nagoya]
鈴木悠哉 / Yuya Suzuki アーティスト
1983年生まれ。札幌を拠点に活動。都市を集合的無意識の集積と捉え、都市風景の断片から独自に記号的なイメージを抽出し、ドローイング、ペインティング、立体、映像など様々なメディアに転換、インスタレーションという形態を通じて現実世界を独自の視点でシミュレーションする。
【活動内容】
【審査員コメント】
・進藤冬華(アーティスト)
街や風景の中からイメージを抜き出し制作してきた鈴木さんが、それらの風景の中にある建物や構造物の材料となる素材(例えば、塩ビ管や鉄、漆喰など)を作品素材として意識して使うことで、これまで風景⇄作品から風景⇄作品⇄素材のように制作を発展させようとしていると理解しました。こうした広がりや、素材へのこだわりが、最終的に個々の作品だけではなく、制作全体のコンセプトやインスタレーション全体に深化をもたらすことを期待しています。
・宮崎隆志(北海道文教大学人間科学部地域未来学科)
素材加工を行う事業者(中小企業)は、職人的な技や術(アート)の世界を持っている点に注目されているように理解しました。職人も表現者であり、コストや価格、効率といった価値とは異なる価値を潜在的には重視しているとすれば、アーティストとの協働によって、その側面が顕在化することが期待されます。それはアーティストにとっても、素材加工業者をパーツ提供者として手段化するのではなく、自らの表現や創造の在り方を問い直す契機になるように思われます。コーディネーターが関わることで、そのような展開が見られることを期待します。
・佐野和哉(株式会社トーチ代表)
作品と今回の素材についてのリサーチやコミュニケーションは切り分けて考えている、という点がとても興味深かったです。「作品をつくる」ということがきっかけで塩ビ管の工場の方々とコミュニケーションが取れたのは、やはり目的があったからというところが大きいのではと思いますが、こういう目的がある人もそう多くない(あるいは作品制作をしたい人などとてもニッチな範囲)であろうと思われるので、この機会をこうした事業で広げられることは札幌市や地域にとっても価値のあることなのではないかと思います。そして切り分けているとはいえ、そのコミュニケーションから鈴木さんが得られる気づきなどもいろいろあるかと思いますので、それらがコーディネートの伴走とともに作品に反映されていくことを楽しみにしています。
・漆崇博、小林亮太郎(一般社団法人 AIS プランニング)
創作活動、作品制作を実直に行なっているアーティストの切実な課題を元に、町工場とのより発展的なネットワークの構築を求めて、本支援事業に申し込みをしていただいたと理解しました。ご自身が必要とする素材や技術を有する工場がどの程度あるのか、あるいは他のアーティストにとって有益な分野の工場があるのか、まずは十分なリサーチが必要かと思いますが、町工場との関係性の構築がご自身にとって未知のチャレンジであり、そこに本支援事業のコーディネートの力点を置くことで、具体的な課題と目的をクリアしていけたらと考えています。
・札幌市文化部職員
ご自身の制作活動の充実だけでなく、他アーティストのためにも新たな活動を行うことは素晴らしく、町工場の方にとっても新たな気づきを得る機会になるのではと感じています。このようなアーティストと地域の繋がりが生まれることで、その地域に新たな価値を生み出すことに繋がりうるものと考えておりますので地域とアーティストが互いに認めあえるような関係性を構築しながら取組を進めていただけると幸いです。