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【文化芸術活動を通じたコ・クリエーション事業/ 支援アーティスト紹介】来田玲子

来田 玲子 / Reiko Kuruta (デザイン研究科大学院生)

2001年生まれ。札幌市立大学大学院デザイン研究科在学。専攻の人間空間デザインに留まらず、幅広い分野で活動中。「日々の尊さを実感する」をコンセプトに、日常を過ごすうちに見落としてしまう“奇跡”の記録や再提示を行なっている。卒業研究ではスペキュラティブデザイン「死考と弔いを醸成する空間」によって、“死”を思考することで浮かび上がる“生の豊かさ”を社会に問いかけた。

【活動内容】

死生観についてリサーチ・創作活動を行う中で、「生の豊かさ」について探る活動を行う。主に死生観に関するインタビューや、ワークショップを行い、2024年12月に展示を予定。それ以降も、活動は継続的に実施する予定。

【審査員コメント】

・進藤冬華(アーティスト)

死というテーマに向き合い、自分のものにしていると感じました。それは、今後も更なる発展を期待させます。子供や若い世代に向けたイベントや企画をしたいとのことでしたが、普段、死について考えることが少ない人々に対して、掘り下げて考えたり、向き合うことをどう促していくのかは課題かもしれません。また、参加者にとって本当に充実した機会になる可能性がある一方で、苦しい時間を強いる可能性もあります。企画への参加者や観客との交流は、来田さんがこれまで死に真摯に向き合ってきた経験と蓄積が試される 1 つの機会になるのではないでしょうか。

・宮崎隆志(北海道文教大学人間科学部地域未来学科)

死後を改めて問わねばならないのは、私たちが死と生が二分された社会に生きているからですが、それはかつては死後の世界をも含んでいた精神世界の収縮をもたらしました。そのように考えれば、何が死と生を二分するのか、そのように二分する作用は現代に生きる人たちの精神世界をどのように変容させ歪めているのかを問うことが、死から生を問うことの隠れた主題であるように思います。生の省察が現代社会の省察につながるような作品を期待しています。

・佐野和哉(株式会社トーチ代表)

「死」という具体的な、かつ誰もが直面するような、最近も議論が活発なテーマにフォーカスしているのがとてもいいなと思いました。スペキュラティブデザインとも相性がよく、大きな可能性のあるテーマだと思います。ただ普遍的であるがゆえに、自分がなにか確信を得て掘り下げられるもの、貫き通すことができるものがないと、どこかで壁にぶつかってしまうかもしれません。スペキュラティブデザインに関連して活動している人は多く見てきているので、コーディネートによる伴走の中でなにかいい形を見いだせるよう、応援しております!

・漆崇博、小林亮太郎(一般社団法人 AIS プランニング)

人が抱える普遍的なテーマであるが故に、他者に問うことが困難な側面を持ち合わせております。 本支援事業が単に活動を資金的にサポートする助成プログラムではなく、共に考え乗り越えていくためのコーディネートに力点をおいている取り組みとして支援する我々自身も試されるチャレンジングな提案であると感じました。 どこから手をつけていくか、何を突破口にしていくか、今後の議論が楽しみです。

・札幌市文化部職員
「死」を焦点を当てた作品制作や活動について、決して一般的なものとは言えないかもしれませんが、受け手がどのように考えるか等についても考慮し、ご自身で課題感を持った上で新たな活動にチャレンジされている印象を受けました。一方、このような事柄に向き合える機会はそう多くなく、作品等に触れた人にとっては自身の生き方等を考えるきっかけにもなるかと思いますので、ぜひ活動の幅を広げていただけますと幸いです。