【審査員コメント】
・進藤冬華(アーティスト)
宮本さんの視点で新しい土地である北海道を不要な物と音を通じて捉えようとする視点や方法に驚きがありました。ただ現在の制作環境において、必要な人材、情報、設備など状況がすでに揃っているようにも感じ、アイスプランニングの伴走を含めたこのプログラムへの参加が新たなチャレンジに繋がり、宮本さんにとっての未知の領域への一歩となることを願っています。
・宮崎隆志(北海道文教大学人間科学部地域未来学科)
サウンドスケープというアプローチに可能性を感じました。息を吹き込む行為が新たな生命を吹き込む行為として意味づけられていますが、廃棄されたモノつまり生命なきモノが声を発するようになれば、日常の空間は確かに立体的に、場合によっては批判的に捉え直されると思います。但し、個々のモノの声(音)は、「(音)風景」という文脈性の中に位置づけられなければ、その意味は読み取れないように思います。「(音)風景」を構築するための方法や過程がさらに詰められることを期待しています。
・佐野和哉(株式会社トーチ代表)
すでにさまざまな制作の実績があったうえで、北海道でこれまでにない接点を持ちながら制作の幅を広げようとしているのが素晴らしいと思いました。大学でも企業連携などの予定があるということですが、こうした機会にコーディネートによる伴走を受けつつ、さまざまな団体や市民の方々との関わりから新しいものが生まれていくことを期待して、応援しています。
・漆崇博、小林亮太郎(一般社団法人 AIS プランニング)
過去の活動や作品による実績、現状の制作環境、そして今後の構想など充実した活動状況にあると推測する一方で、北海道での創作において今ひとつ発展性に欠ける「何か」を模索されている印象を受けました。 手元にはない新しい情報、人、コミュニティとの出会いをきっかけにもう一歩ステージを上がろうと苦心されていることが、コーディネート支援を必要とする切実さにつながっていると理解しました。 具体的なアプローチ方法やイメージはある一方で、実現性や計画性にやや乏しい部分もありますのでその点を中心に最大限サポートできればと考えています。
・札幌市文化部職員
これまではご自身の作品制作を中心に活動されていたところ、清掃ワークショップ等といった地域住民との繋がりを作ろうと試みる点が新たなチャレンジであり、ぜひ取り組んでいただきたいと考えております。また、完成した作品を展示するのはもちろん、例えば、制作過程について触れる機会を設ける等、地域や他者との接点をさらに作っていただけると、文化芸術による地域への価値還元の観点からも非常に素晴らしいのではと感じました。