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【文化芸術活動を通じたコ・クリエーション事業/ 支援アーティスト紹介】きたまり

design:Takashi Tsuji

きたまり Kitamari(振付家)
2003 年よりダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI 主宰。2006年京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科卒業。以後、京都を拠点に国内外で上演を行い、非言語表現の可能性を考察し続けながら、ジャンルを越境した多岐にわたる創作活動を展開。近年はマーラー全交響曲を振付するプロジェクト、劇作家・太田省吾の戯曲を舞踊化するシリーズを手がける。2022年夏より札幌在住。 ソロダンス『MUSUME-Dojoji』にて札幌劇場祭TGR2022[特別賞]受賞。2023 年度よりセゾン文化財団セゾン・フェローⅡ。

https://ki6dance.jimdofree.com/

 

【活動内容】

古代ギリシアの喜劇作家アリストパネスによる戯曲『女の平和』をモチーフに作品を制作予定。制作に向けて劇作品の為の勉強会を行う。(アリストパネス研究、フェミニズムとジェンダー問題、戦争に関する勉強会)それと同時進行で、10代の子達を対象にしたワークショップを予定。(全6回、踊り・体2回、歌・声2回、対話2回)これらの活動を踏まえ、作品制作を試みる。

【審査員コメント】

・進藤冬華(アーティスト)

戦争と性、ティーンエイジャーの組み合わせがチャレンジングだと思いました。このプログラムを通じ、戯曲と向き合い、参加者や関係者の理解と信頼、協働を促すことは大変なことかもしれませんが、何が重要かを理解していた様子から、柔軟に活動を進めることができるのではないかと感じました。また既存の舞台での発表にこだわらず、様々な場所や方法で公開することに興味が向いていることも札幌のような地方都市の状況に合うように思いました。
「ダンスを通じ自分の体と関わり、大切にすることが、他者を大切にすることにつながる」というきたまりさんからの力強い言葉に期待しています。

・宮崎隆志(北海道文教大学人間科学部地域未来学科)

身体の次元から自分の存在を問い直す過程に焦点を当てられていると理解しました。「戦争や虐殺、ジェンダー問題」に心を痛められてきたと述べられていますが、それは人間存在を軽んじて身体を道具化したり、モノとして蔑む振る舞いに対する批判意識に基づくものと拝察します。その主題に迫るには、無意識のうちに自らの身体を制約していることへの気づきと、解放された身体に基づく対話的関係の探求が必要になると思われます。戦争や性などの多様な切り口が考えられますが、どの切り口から入れば上述の過程を構成しやすいのかを検討して下さることを期待します。

・佐野和哉(株式会社トーチ代表)

これまでの活動の積み重ねから、今回チャレンジしたいポイントと対象が具体的になっており、それがしっかりとこれまでアプローチできていない部分への挑戦になっていることにとても可能性を感じました。 プロセスが重要であるとおっしゃっていましたが、アウトプットの形はここからまだまだ検討が必要な部分かと思いますので、コーディネートによる伴走を受けつつ、世の中の関連がありそうな事例を参考にしながら、いいアウトプットにつながるいいプロセスを踏んでいくことを応援しております!もちろんお力になれることがあればご助力させていただきます。

・漆崇博、小林亮太郎(一般社団法人 AIS プランニング)

これまでのご自身の活動を新たなフェーズに押し上げようとする意欲に満ちた内容で特に若年層(学校等のコミュニティ)へのアプローチに関して課題をしっかりと認識されており、本支援事業の最も重要なポイントであるコーディネートを必要としている切実さが伝わる内容でした。 テーマや題材としている活動を推し進めていくには、ハードルが高い部分もあると思われますが、それこそが挑戦です。今後の展開においては優先順位をある程度明確にし、慎重かつ柔軟に、一つひとつ乗り越えていくプロセスをお手伝いさせて頂きたいと考えています。

・札幌市文化部職員

ご自身がこれまで行ってきた活動からさらに一歩チャレンジされるという点、また、事業実施に向けた課題感をしっか
りと整理されている点が素晴らしいと感じています。今後事業を進めるにあたり、ご自身の作品や活動に対する想いを大
切にしていただく一方で、受け手の立場や状況等にも視野を広げていただき、ご活躍いただきたいと考えております。