おとどけアート栄西小学校アトリエサカエニシ(2024年12月10日 月曜日)見学記 号外!?
おとどけアート栄西小学校アトリエサカエニシが終了して、約二か月。
立春をすぎて、旧正月明けの二月十日。
栄西小学校の転校生 秋ちゃんこと、秋元さなえさんが、母校となった栄西小学校を、再訪しました。
学校のインターホンを鳴らして、久しぶりの、「おはようございます。おとどけアートです!」
玄関を通るとだんだん山校長先生が自らお迎えくださった。
「いや、久しぶり・・・でもないですかね」
「三岸好太郎美術館のギャラリーツアー以来ですから、ひと月ぶりですね。その節は、ツアーに来てくださってありがとうございました」
と、秋ちゃんがごあいさつ。三岸好太郎美術館開催の「みまのめ」展という、若き現代作家たちの展覧会に秋元さんが参加していて、だんだん山校長先生は、一月十一日の秋元さんのギャラリーツアーにいらしてくださったのだそうだ。
小樽のだんだん山周辺のお話を聞きながら、おとどけアートの「控室」で中休みが始まるのを待つ。
今日は、ジョシュアさんもいない。中庭は、すっかり真っ白。
中休みのチャイムが鳴る。
秋ちゃん、校内を歩いて、馴染みの顔を探す。
背も、雰囲気も、少し大人びたアトリエサカエニシの子どもたち。もうすぐ上級生!
「あ、秋ちゃん!久しぶり。また転校して来たの?」
「違うよー。今日は40条公園に行く用事で、みんなどうしているかと思って寄ってみたよ!」
一人の女の子が、秋ちゃんの手をつないで一緒に回る。見知った顔の子どもたちと先生方の元気そうな姿が見えた。四年生、三年生、二年生、ひと教室ずつご挨拶して回って、六年生の教室を通る。最終日に話した子、いるかな。五年生の教室を覗いて、久々の再会に花を咲かせる。教室でも廊下でも、けん玉にメンコ、トランプをしたりと、冬の室内遊びが楽しそう。遊びは勉強のはじまり、勉強は遊びのはじまり。どちらも大事。
今度は体育館へ。
中休み終了のチャイム。三時間目が、もうすぐだ!体育館では遊んでいた子と入れ替わりで、スキー授業の準備をした一年生が、スキー板を抱えて外へ続く扉からグラウンドへ出て行く。秋ちゃんと一緒に開け放たれた扉から覗くと、スキー用に作られた立派な雪山・・・蝦夷富士ならぬサカエニシ富士が、澄んだ青空にでんと構えている。立春を過ぎたけれど、まだまだしばれるほどに風が冷たい。
寒い!戻ろうか!体育館を出ようとした、ちょうどその時、「子どもたちが私を探しているって言うから、どうしたのかと思ったら!」あざふ・ふしみいなり先生がスキーウェアと毛糸の帽子に身を包んで現れた。「これから40条公園に展示で使った葉っぱを返しに行くんで、ちょっと寄りました」秋ちゃんが告げると、先生はご自宅の近くの最近の様子をしてくださった。秋ちゃんが来れるときに、いつでも待ってますよ、と仰った。
校長室に寄って、だんだん山校長先生にお暇を告げに行くと、コーヒーブレイク・タイム。おとどけアートの話。みまのめ展のギャラリートークの話。そして秋元さんが関わっていた空知炭鉱のプロジェクトの話。そこからこのおとどけアートに繋がったのだという話。そして最後に、秋元さんがこの春からのリバーネームの土地を巡った後の話となって、次の冬が来るころに栄西小学校のホールでまた展覧会をやりましょう、と仰った。アトリエサカエニシから、ギャラリーサカエニシかな?ギャラリーサカエニシオーナー・だんだん山校長先生!?
「また、いつでも来て良いからね!」
さて、栄西小学校をあとにして、ここからが秋元さんの本日の活動。展覧会で作品に使った葉っぱを40条公園に戻す。
午後から天気が崩れると言っていたけれど、もう風が強い。
「子どもたち、気づいてくれるかな」
雪が降る前の、子どもたちと過ごした時間を思い出しながら、秋元さんが落ち葉を一枚ずつ、測量した山を目指して雪に刺してゆく。
マロニエ、さくら、もみじに、プラタナスにイチョウ。
落ち葉は、真っ白な雪のなかで木の枝の影に重なって、美しい。
そして強風に揺れて、くるりと回り、ふるふると震えて、舟の帆にも、雪から現れた手にも、見えてくる。・・・雪だるまの、雪の妖精の手?
「あっ!」
不意の東からの突風に、秋元さんが持っていた袋から落ち葉がこぼれ落ちた。
「どうしよう、後で拾うかなあ」
秋元さんは一瞬迷ったけれど、リズムは崩さない。
「あの辺りは、見えない川のあった場所かな」
「あんなところに時計があったっけ?」
「あったあった。“小さなすみか”のときに時間を確認したから」
かたゆきかんこ、すっかり踏み固まった雪の小径は高くなっていて、景色が違う。
「何やってるの?」
雪投げに来ていたお爺さんが、赤いママさんダンプを押しながら話しかけてきた。
「使った葉っぱを返しに来てます」
「アートみたいだな」
怪訝そうなお爺さんから、そう聞こえた気がする。
主の居ない、公園。
オーナー不在の、ギャラリー。
アーティストは、この真っ白なギャラリー空間の中で自由。
会期は、いま、この一瞬。
次のだれかが見に来る頃には、またその時、ちがう作品のかたちになっている。
かたちは変わり続ける。
やって来た誰かが見て、その時に、なにかを感じてくれたら。
過ぎ去っても、忘れないで。
東風吹かば の、うたを思い出しつつ。
匂いはしないけれど、
うぐいす色に光るもみじの小枝が風にゆれて。
春が、またやって来る。
またね、秋ちゃん!
※このブログは弊社(一般社団法人AISプランニング)が実施しているコーディネーター育成プログラム参加者が書いています。
コーディネートサポート&ブログ/ISO(磯田)