おとどけアート in 栄西小学校 「アトリエ*サカエニシ」の見学記/12月2日
ISOです。
おとどけアート栄西小学校、アトリエサカエニシ最終日となる12月2日。23日のお披露目から9日ぶりの栄西小学校。秋ちゃんが一番気にしていた押し葉は、乾燥が進んでもまるまることもなく、天井からきれいにぶら下がっていた。
10時半の中休みにホールの展示スペースで待機していると、子供たちやあざぶ・ふしみいなり先生や、さろまこ先生、だんだんやま校長先生もやって来て、秋ちゃんとしばしのおしゃべり。展示も見てくれる子どもたちには、展示の説明。
展示は今日の下校時間までなので、展示した作品のことを聞きたい人にはお話しするよ、と秋ちゃんから聞いて、先生たちが、空いている時間を見つけてクラス単位学年単位で来てくれることに。3時間目にさろまこ先生のいる4年生の子どもたちが、6時間目はあざぶ・ふしみいなり先生のいる1年生。
小林氏、ホワイトボードにギャラリーツアー希望のクラスの時間の割り振りを書く。
中休みが終わると、すぐにギャラリーツアーのために、四冊の本たちを、留めていたクリップを外して、床に並べる。このほうが、たくさんの子どもたちも一度に見やすい。
11時を過ぎて3時間目も終わりに近づいた頃、4年生の子どもたちがやって来ました。
全員そろっったら、秋ちゃんツアー、ギャラリートークのはじまりです。「自由に見てください。展示はここから体育館までの廊下のスペース。
タイトルは、わたしをつくるてんらんかい。
ただ絵を描いたり、粘土で形を作ったりするのではなくて、みんなで手をつないで学校の中を測る、自分の型をとった人もいるかもしれない、もしかしたら40条公園で一緒に葉っぱを拾った人もいるかもしれませんが、自分の体を使ったその体験が、町を知ることになったり、自分を知ることになったりするので、それがわたしにとってアートの形だと思っていて、それを作品にして展示しています。」
「こちらには学校の中を手を広げて測った絵、4年生のクラスを測った絵もあったり、参加してくれた人は他の場所も測った絵もあります。」
「これは学校の外を歩いたところの地図で、オレンジの点が栄西小学校です。放課後一緒に歩いた子もいるかもしれませんが、地図の横の絵は、教室でみんなで測った時の絵のように測ったらどんなか、実際はもっと小さい人が入るけど、28,000歩分の人が入るというのを絵にしたものです。みんなと学校の外に行けなかったから教室を測ったけれど、自分の体があればここからここまで測れるんだとか、感じてもらえたらと思います。」
「後ろには写真があって、本の形にしてありましたが広げてあります。40条公園で3年生と授業をした時の写真や学校な中や外を歩いて測った写真、さろまこ先生たちにインタビューした写真もあります。奥には動画があって、ここのポスターにありますが、あなたの名前を教えてください、というので自分が住んでいたところや今住んでいるところで、好きな場所だったり、自然のもの、川や山や木や動植物、自分の大事に思っていることを選んで、苗字と名前の間にはさんで新しい名前を作ってくださいってお願いして、どうしてそこを大事に思うんだろう、というので、お話を聞いています。」
リバーネームインタビューをしたさろまこ先生が、お手紙ポストの「葉書」を手に、「リバーネームって何?って最初は思ったけど、名前を考えてその理由を話してみたけれど、自分の生まれ育ったところって素敵なところだったんだなってあらためて知ることができました。みなさんもやってみることでもっとより地域が知れると思います。これも書いていいそうなのでやってみたい人は書いてポストに入れてみてください。」
「体育館の廊下は体を測る、というのを実際に体ではかって、それを模造紙に描いたものが体育館に向かってずらっとならんでいます。そうやって学校を測ったというのを感じてもらえたらと思います。
全部見ると大変なので、何が何と繋がっているかとか考えて見てくれたらと思います。自分の好きなものから見て見て、聞きたいことがあったら聞いてください。」
秋ちゃんの説明を聞く子どもたち、ぴょこぴょこと嬉しそう。お話しが終わると、みんなそれぞれ気になるところに散らばって行って鑑賞。写真を見たり、秋ちゃんの写真パネルの丘珠獅子舞のことを聞いたり、リバーネームに挑戦する子たち。
最後に三岸好太郎美術館の秋元さなえさんの展覧会のお知らせを、さろまこ先生がしてくださり、小林氏と秋ちゃんの挨拶でツアー終了。
本日は給食は無し。少し早めの12時に持参の昼ごはんを済ませて、転校生として今日で学校を去ることを伝えるために放送室へ。
とよひらがわ教頭先生が「テレビ放送にしますか?」と尋ねると、恥ずかしがり屋の秋ちゃんは、恥ずかしいので声だけで、と言うので、マイク放送の席に座って、これからお届けアートの秋元さんの挨拶があることを伝えてくれた。
席を代わって秋ちゃんが座ります。
展覧会をしてみて良かったこと、放課後までいるので興味があったら見に来て欲しいというお誘い、そして転校初日に出したなぞなぞのお話になりました。
答えを考える間に、いつも栄西小学校の放送局の子どもたちがお昼の放送で鳴らしていたウッドブロックとトライアングルを、せっかくだから鳴らして見たら?ということで、ウッドブロックとトライアングルをisoが担当。楽器の性格を知らなかったため、持ち上げたウッドブロックが持っていた棒から抜け落ちて、木の床にがっこーん!すごい音が。やっぱり鳴らすのも、物の特性をしっかり把握して練習も必要です。ほんとにすみません。
放送事故にも動じず、秋ちゃんが話を続けます。
「わたしは江別にある、アトリエとりむしさかなという場所からきましたが、この“とりむしさかな”にはどんな意味があるでしょうか?というのを転校初日の挨拶で言ったと思いますが、今から時間を少し取るので考えてもらっていいでしょうか?」
カンコンカンコン、チーン
「ほんとにちょっとのシンキングタイムでしたね。」
心がざわざわしたままの音とリズムに、秋ちゃん、ちょっと眉を上げた。
「答えを言います。とりむしさかな、と言うのは、とりのめ、むしのめ、さかなのめ、それぞれの目玉のことなんですね。鳥は空から、虫は地面のすごく近くからそのまま見る、魚は海や川の水の中からみて水面の外からの人には見えない自分の心の中とか見えないところの目線というか、そういうのを意識して、作品を作る、そういうふうに生きていけたら素敵じゃないかなって思ってつけた名前です。みなさん学校生活で色々あるかもしれない、生活していて辛いこととかあったりするかもしれませんが、そういう時に視点をずらすというか、鳥の目のように遠くからみて見る、虫の目のように逆に近づいて見る、魚の目のように今見えていない想像の世界で考えて見る、そういう風に考えて見たら、ちょっと生きるのが楽になる、生活するのが楽しくなるというのがあるんじゃないかなと思っています。これで放送は終わりにしますが、もし機会があれば栄西小学校に遊びに来ますので、見かけたら声をかけてください」
小林氏もお届けアートのコーディネーターとして挨拶して、放送は終了。
とても素敵な挨拶でした。
とよひらがわ教頭先生にも感謝を伝えて、秋元さん、豊平川のどのあたりでとん魚やカワガレイを釣っていたのか、訪ねるために確認。先生の指し示す地図をよく見ると、近くには豊平川札幌地区河川防災ステーション。昭和56年の洪水がとよひらがわ先生のインタビュー中にも話題になりましたが、こういう施設があることを普段から意識しておくのも大事ですね。見学できるのかな。。。
控室に戻ると、給食後の休み時間を使ってらんるやま先生が。他にも高学年の子がやってきて、しばらく歓談。
5時間目、1年生のツアー。
「新しいものを何かやってみようという気持ちがわいてきてやってみる、それもアートだなぁって思います。」
秋ちゃんが栄西小学校の周りをあるいたのを地図で、ここからここまで歩いたんだよ、というと、「えー!!」子どもたちのびっくりした歓声が上がります。
1年生のツアーは説明は短め。秋ちゃんと一緒に見てまわります。
リバーネームに挑戦したり、身体スケールの型紙にジャンプして見たり。届くかな?
時刻は午後2時。ランドセルを背負った子どもたちが階段を駆け降りてきて、3年生が飛び入り見学。
ショートギャラリートーク。みんなといっしょに40条公園授業ですみかを作ったから拾ってきた落ち葉、手を広げて学校の大きさを測った、そういう活動が作品を作っていたんだよ、ということを話す。作品って、形が残るものだけじゃない。新しくやってみたいと思うこともアート、秋ちゃんの展覧会だけど、みんなの展覧会でもある。
トークが終わって自由に鑑賞時間が始まったところに、小林麻美さんが。日程が合わず今回小学校でインタビュー風景は見られなかったけれど、小林麻美さんのリバーネーム、ご実家の近くのポプラの木の防風林が思い出深いというので「ぼうふうりん」をリバーネームにして、今回の映像作品の中に。
北海道では牧草地や川べりの防風林によく用いられるポプラ。やなぎの仲間で、ラテン語で「人々」の意味や「震える」という音からの意味でついたなどと諸説あるらしい。実は北海道在来種のポプラの仲間がいて、和名は「山鳴らし」。葉ずれの音からついている。風で鳴る葉っぱの音、今度ちゃんと聞いてみよう。それにしても、ポプラ並木、人が手を繋いで並んでいるみたいに思うと秋ちゃんのアートにイメージがまたつながってきて面白いな。。。。
下校時間ということもあって、3年生は短い時間鑑賞して、今度は下校直前の5年生、6年生も。
「自分が写っているのがあれば、持って行っても良いよ」
インタビューの映像の方から川のように並んだ写真たちから、子どもたちがこれ、俺かも!と何枚か拾い上げられる。6年生の子、リバーネームのインタビューに興味があるのか、秋ちゃんとしばらくおしゃべり。
おとどけアートの条件として、授業には先生方からの要請がない限り関わることがなく、主な活動は中休み時間と昼休み時間、あるいは、登下校前後の早朝か、放課後。今回、秋元さんが美術の先生の免許も持っていたり、子どもたちにアート教室を開いていることもあって、積極的に先生方に迎えられ、授業の中に参加して活動することも多かった。そこで仲良くなった子たちは授業以後も積極的に交流ができた。積極的にやってくる子どもたちには、秋ちゃんがたいてい、何年生のだれそれか訊ねるけれど、6年生、という子はいなかった。もう少し日数があったら、また素敵なやり取りがあったかもしれない。
あざぶ・ふしみいなり先生がやってきて、秋ちゃんと次の約束。伏見を訪ねる時はぜひ。そして地図で、もう一箇所。「麻生は昔この辺りに住んでいたの」
5年生ののぞみちゃんが、「秋ちゃん、いっしょに写真撮ろうよ!」5年生何人かと秋ちゃんでパシャリと一枚。みんなで写した写真を学校に送るよ、というと、「写真は次に栄西小学校に来る時で!」次の約束。秋ちゃんが次にいく日も、そう遠くないかも!?
もう下校が済んだ頃合いを見て、展示の撤収。
あった状態に戻しながら、展示の制作物を下ろしたり、はがしたり。リバーネームお手紙ポスト、開けて見たら、思っていたよりたくさん入っていた。
5時過ぎてようやく終わりが見えてきた。全て何もない元の状態。終わったあとのさびしい感じの中、先生方にご挨拶すると、ホールまで出てくださり、拍手と暖かい言葉で見送られつつ小学校を後にしました。
アートって、ほんとに何でしょうね。
帰りぎわの秋元さんが言った。
アートって本当になんだろう。
生きている自分、生きていくための自分、自分=アート?生きているアート、生きていくためのアート。
見え方ひとつで、見せ方ひとつで、そうだったり、そうでなかったり。
色々な答え。自分だけの、その時の。答えは変わっていっていい。正解もない。
楽しいばかりでもない。
作る時には、むずかしかったり、苦しかったり。
そういう色々があって、でき上がっていく。
苦しいのも辛いのもあるから、嬉しさも楽しさも倍に感じられるのかな。
苦しいその時の合間にも小さな楽しさはあって、あの時苦しかったって思う時は今、楽しかったり。苦しい時には、あの時の楽しい時間がきっと道しるべにもなる。
歩くのと同じだね。後ろばかり振り返っても、足元だけを見ても、先ばかり考えても仕方ない。
何にしても、ずっと続けていかないと、わからない。
秋ちゃん。。。。秋元さんの活動もここが終わりではなくて、この先も色々な場所で続いていく。
お届けアートも、続いていく。
次のアーティストさんはどんな人?
そして、お届け先は。。。。。。
見学させていただき、ありがとうございました!
※このブログは弊社(一般社団法人AISプランニング)が実施しているコーディネーター育成プログラム参加者が書いています。
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