札幌市内の小学校を対象にした子どもの文化芸術体験事業「おとどけアート」。
栄西小学校に続き、屯田小学校でも活動がスタートしました。
屯田小学校に通うアーティストは劇作家・演出家の西脇秀之さんです。
屯田小学校では、8月末に教職員のみなさんへ挨拶と西脇さんによるワークショップを実施しており、おおまかに初日にやってみたいことを伝えた上で、活動初日はあえて子どもたちにおとどけアートや西脇さんのことを知らせずに臨むことになりました。
西脇さんがやってみたいことは「リンゴを1つ置いておく」こと。
リンゴを置くことからどんなことが起こるのか、それを観察するところから活動が始まります。
9月4日(水)、子どもたちには内緒の1日目。
西脇さんは子どもたちの登校時間より一足先に登校して、玄関を通ってすぐのところに机を置いてリンゴを置きました。
うーん、こうかな、それともこっちかな、と位置を微調整する西脇さん。早くもなんだかこだわりを感じます。
近くのピアノの足元には、録音用のマイクを仕込みます。バレないかちょっぴり不安な様子。
準備ができたら、近くの校長室からひっそりと子どもたちの反応を伺います。
(ちょっと不審かもしれない。。。)
登校時間となり、子どもたちが一気に入ってきます。
気づかずに教室へ向かう子が多い中、気づいた子は様々な反応を見せます。
二度見する子、リンゴを見たまま教室へ行く子、偽物じゃないかと疑う子、先生に質問する子、友達を呼ぶ子、恐る恐る近づく子、何のためらいもなく掴む子、割っていい?と聞く子、今日の給食だと推理する子などなど。そして事情を知りながらも子どもに聞かれてとぼける先生方。
その様子をニコニコ見守る西脇さん。
(やっぱりちょっと不審かもしれない。。。)
あっという間に登校時間が終わり、拠点へ向かいます。
屯田小学校でのおとどけアートの拠点は図書室前にある"ふるさとルーム"。
開校からの年表や郷土資料などが展示されているスペースです。
奥には座面が畳となっている腰掛けもあり、なんだか落ち着く空間。
子どもたちへのアプローチとして、お手紙を書いてきたという西脇さん。
内容を読んでみると、西脇さんのもとに不思議な手紙が届き、そこには屯田小学校に行けと書いてあった。そこで西脇さんはリンゴを使った舞台を作りたいので屯田小学校に協力してほしい!と書かれています。
なんだか素敵なことが始まりそうな予感がプンプンしますね。
手紙には屯田小のみなさんにセリフを考えてもらい、思いついたらポストに投函してほしいというお願いも書いてあります。
このお手紙を先生を通じておたよりとして子どもたちに伝えてもらうことになりました。
なかなか味のあるポストですね。
その後、中休みにはホールに椅子を並べ出す西脇さん。
後ろの席にどーんと構え、りんごを見守ります。
早速、子どもたちがやってきましたよ。
朝と同じように、怪訝そうに近づく子や、りんごを高々と持ち上げる子など反応は様々。
ついには西脇さんから子どもたちに声をかけてみたり。
「なんでここにリンゴがあるんだい?」
自分が誰かということを話さずに子どもたちとふわっと会話をし始めていて少し驚きましたが、それが西脇さんが持つ不思議な雰囲気というか魅力なのかもしれませんね。
さあ、リンゴから始まる屯田小学校でのおとどけアート。
これからが楽しみですね。
コーディネーター 杉本