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【おとどけアート】札幌市立伏古小学校×進藤冬華 活動ブログ16

札幌市立伏古小学校でのおとどけアート最終日!

「お片付けの日」

と題して、これまでなかよし広場で繰り広げてきた様々な造作物や記録物をみんなで一緒に一斉に片付ける!と言うことらしい。

 

まずは、スタッフで思い思いに記録撮影。

「ああ、こんなものもあったよね〜」

「よくこんなもの作ったな〜」

など、これまでのエピソードを振り返りながらの撮影。とても感慨深い。

 

6年生の常連チームもお手伝い。
彼らとも、いろいろな話をして、学校のことや友達のこと、そして将来のことなどいろいろな話をしたね。

 

そして、一緒にポストを開封。

 

発案者の6年生は蓋を開けてニンマリ。

たくさん入ってるね〜!

 

気になる内容は、、、

イラストが多数。

高学年と思われる多感な時期にありがちな文章多数。

先生への主張も多数。

匿名のお手紙ならではの奇抜な内容多数。

公開に耐えられない内容多数、、、。

 

はい!そして中休み!

続々と広場にやってくる子ども達。

さて、今からみんなで解体作業です!

目をぎらつかせて今にも構造物に飛びかかろうとする子もいれば、何が起きるおか不安げな子もいます。

 

「それでは今からこの段ボールをみんなで壊しま〜す!」

進藤さんが号令をかけ終わるや否や、飛びかかる子ども達!

 

その迫力に唖然とするアーティストとスタッフ一同。

こうなるともう誰も止められません。

 

創造と破壊。

歓声と悲鳴。

笑顔と涙。

いろいろなものがこの空間を渦巻ます。

 

あっという間に焦土と化した段ボールの世界。

 

絶句!の一言です。

あっという間の出来事。

休み時間が終わり子ども達がいなくなった広場は、それはもう何と言うか災害の後のような、、、。

 

「これでよかったんだろうか、、、」

ボソリと呟く進藤さん。

なんかすごい勢いだったので、コントロールする隙もなく、全てが破壊されて呆然としてしまいました。

 

さて、あらかた片付けを終え、昼休みと放課後には、各学年の常連さん達がこぞって遊びにきました。

この場所のことをある子は「俺たちの楽園」と言い、「もっと早くくればよかった。」と後悔していう子どももいたようでした。

そしてある子は「居場所」と言っていました。

 

子ども達と別れを告げた後、広場にあるホワイトボードを見るとこんな素敵なメッセージが、、、

泣かせるじゃねーか!

 

さて、活動の最後は、先生方との振り返り。

完全に活動が始まる前の広場の状態に戻した後、記録したものを改めて並べて、先生方と鑑賞しながら活動期間中の出来事や考えたことを共有しました。

 

先生方と振り返りの機会で寄せられたコメントには、様々な背景を持った子どもの存在を許容しながら運営されている実態の中で活動当初は、
「エネルギーの発散の仕方がわからない、切り替えがうまくでいない子もいる。」
「どこまで注意していいかわからなかった。」
「怒らずに教室に戻すにはどうしたら良いか。」
など、今回の取り組みを受け入れるうえで迫られる対応にそれぞれの戸惑いがあったことがわかりました。

しかし、活動が後半に差し掛かって混沌とした状況になってくる中で、
「非日常的な空間が魅力的になっていった。」
「決まったことをみんなでやることが多いが、ここでは好きなことをやっていい!と感じた。」
「芸術的活動というより行動的活動なのかと感じた。」
など活動そのものへの印象に変化が生じていたことがわかりました。

活動の終盤、授業時間を使って広場にやってきた3年生担任の先生から、
「最初は何をしているのか掴めないままいたが、すこしずつわかっていき全員に経験させたいと感じた。」
とのコメントがあり、子ども達の広場に対する執念が担任の先生の心を動かしたのだろうと推測できるお話しでした。

最終的には、
「アーティストがいない時に、先生自身が違学年の子どもと喋る機会ができたのは、この場があったからだと思う。」
「自由にやって失敗を経験する、場を取っ払うではなく使い方を一緒に考えることが大事だと気づいた。」
「使い方、遊び方、学校としてもう一回ルールを確認する機会になった」
「いろいろおこることは怖いけどやってみないといけない。」
など、活動の経緯の中でそれぞれの気づきがあったことが理解できました。

振り返りの最後は、校長先生から、
「みてもいないことに覚悟はできないし、学校にも覚悟が必要。」
「生きていくことは異物・異分野と出会うしかない。綺麗な水紋を描く出会いばかりではなく、違和感を感じることが大事。」
「今回は子どもだけではない大人(先生)が対象なんだと気付いた。」
という力強い言葉が印象的でした。

約1ヶ月半、アーティストの進藤冬華さんは週に2〜3回学校へ通い、日々繰り広げられる様々な状況を根気強く観察してきました。
思えば、明確なタイトルやテーマを投げかけてスタートしたわけではなく、アーティストはひたすら観察者として目の前で巻き起こっていく現象(出来事)とその影響を様々な場面、様々な時間で観察し記録していたに過ぎません。

むしろなるべく存在を消し、特別なアクションを行わないことに注力していました。

もしも今回の活動が、学校にとって特別な状況を生み出していたのだとすれば、これまでの子ども達の行動や発言、そして日々先生方が状況に振り回されながらも自ら考え作りあげていった状況であったようにも感じています。

そこには、学校の新たな日常を描くヒントがあったのではないかと、活動を終えて改めて思う次第です。

本活動にご協力いただいた伏古小学校の皆さんありがとうございました。

そして、アーティストの進藤さん、本当にお疲れ様でした!

また一緒に伏古小学校に遊びに行きましょうね!

 

2022年度のおとどけアート活動はこれにて終了。

2023年度の活動もお楽しみに!